著名なblood urea nitrogen-creatinine ratioの低下を示した慢性腎不全の1例
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概要
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腎機能低下に伴い血清クレアチニンは高値をしめす一方血清尿素窒素は低値をつづけ, blood urea nitrogen (BUN)-serum・creatinine ratioが1.17にまで低下した慢性腎不全の1例を経験した.症例は22才の男子であり,昭和46年8月に多量の蛋白尿と高脂血症,低蛋白血症を示し,臨床的にはネフローゼ症候群を呈して入院した.副腎皮質ホルモン剤,免疫抑制剤の投与を行なつたが治療に抵抗を示し,昭和48年6月にはクレアチニン・クリアランス41m1/minに低下し,尿蛋白6〜14g/日の状態で退院した.その後血清クレアチニン値は徐々に上昇を示した.昭和50年8月にはクレアチニン・クリアランス5.4ml/min,血清クレアチニン12.4mg/dlを示したが血清尿素窒素は37mg/dlであり,摂取蛋白50g/日より30g/日に減ずることにより,血清クレアチニン12.8mg/dl,血清尿素窒素15mg/dlとさらに血清尿素の低下を示した.その際に窒素出納と15N-尿素の投与による15Nの動態を検索した.窒素出納では,平均食餌窒素4.90g/日,平均尿中尿素窒素4.26g/日,平均糞便中窒素1.42g/日より,平均窒素出納はマイナス0.76g/日の負のバランスを示した. 50%15N-尿素2gの静脈投与による15Nの尿中排泄率は35.5%,糞便中排泄率1.9%, 15Nの血清アルブミンへの取込みはその最高値が0.036atom%excessであり,正常者や他の慢性腎不全症例に比し, 15Nの血清アルブミンへの取込みが明らかに亢進していた.従つて,本症例では尿素窒素のアルブミン合成への再利用が盛んなため腎機能の低下にもかかわらずBUNの低値がつづいたものと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
-
小林 快三
名古屋大学医学部山田内科教室
-
前田 憲志
名古屋大学付属病院分院
-
柴田 昌雄
名古屋大学分院内科
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斎藤 明
東海大学医学部腎不全病態科学講座
-
杉山 敏
社会保険中京病院腎臓内科
-
杉山 敏
社会保険中京病院
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斎藤 明
名古屋大学医学部附属病院分院内科
-
大野 秀作
社会保険中京病院腎臓科
-
加納 薫
社会保険中京病院腎臓科
-
太田 和宏
社会保険中京病院腎臓科
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小林 快三
名古屋大学医学部分院内科
-
前田 憲志
名古屋大学
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