アルコール性肝障害に対する肝生検組織内round cytoplasmic globuleの診断的意義
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概要
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光学顕微鏡下で肝生検組織に認められるいわゆるmegamitochondriaと呼ばれる肝細胞内硝子様物質round cytoplasmic globule (RCG)のアルコール性肝障害に対する診断的意義を検討した.RCGはHE染色で淡紅色, Masson-Trichrome染色では暗赤色, PAS染色に無染で,肝細胞質内に境界鮮明な円形,楕円形,卵円形,紡錘形などの形態で認められる.肝生検219例を日本酒にして毎日平均3合以上飲用するものと2合以下のものの2群に分類してみるとRCGは前者に33%,後者に6.8%に出現し,両群間に有意の差を認めた(p<0.001).またRCGの出現した44例中36例(82%)が前者に属していた.さらにRCG陽性例の中12例(28%)は断酒後1カ月以上経過したものであった.組織障害からみたRCGは脂肪性変化,肝硬変,慢性肝炎の順に出現した.標本中典型的なMalloryのアルコール硝子体は認められなかった.RCGは肝生検組織上アルコールの関与を知る一助と見做される.
著者
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筋野 甫
国立相模原病院内科
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安部 明郎
国立相模原病院内科
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島野 毅八郎
国立相模原病院
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本間 定
国立相模原病院内科
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沓掛 伸二
国立相模原病院
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藤田 由美子
国立相模原病院内科
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蓮村 哲
国立相模原病院内科
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