肝細胞の脂肪化と可染性鉄出現について
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概要
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肝細胞の脂肪化と可染性鉄出現との関係を明らかにする目的で,生検肝組織標本の観察から疾患別の鉄陽性率を求め,その成績を脂肪化の有無および血清鉄値と対比して検討した.対象は脂肪肝52例,慢性肝炎63例,肝硬変症39例およびその他慢性肝疾患23例であった.脂肪肝での鉄陽性率は77%で,慢性肝炎44%,肝硬変64%,その他の疾患48%に比べ高率であった.脂肪肝以外の3疾患を脂肪化の有無により2群に分けると,それぞれの鉄陽性率は慢性肝炎66, 23%,肝硬変84, 45%およびその他の疾患64, 22%で脂肪化例に高く,その差は前2者で有意であった.脂肪肝の成因との関係では糖尿病性83%,肥満性67%,アルコール性67%およびその他の原因75%であった.脂肪肝での血清鉄値は可染性鉄の有無と無関係に正常であった.以上より肝細胞脂肪化と鉄陽性率上昇との関係が明らかとなったが,その機序について考察を加えた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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