体色黄化を特徴とする養殖ブリの光学顕微鏡所見 : 養殖ブリの体色黄化を特徴とする疾病の病理学的研究-1
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概要
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1.昭和 61年 9 月から10 月にかけて長崎県下の地域的に異なる 2 ヶ所の養魚場(Aおよび B 地区)から採取した,体色の黄化を特徴とするブリについて病理組織学的に検査した。2.両地区の病魚とも口唇,眼窩および腹部などの体表あるいは躯幹筋が黄色を呈しており,肝臓・脾臓の腫大・脆弱化,および鰓の槌色が認められた。3.組織学的に,A地区の病魚には肝臓の局所的な循環障害,肝細胞の変性,集族巣内の貪食細胞におけるセロイド様色素顆粒の沈着,牌臓内の血鉄索の増加,尿細管上皮内の硝子滴変性と尿円柱の存在,およびセロイド色素様の有機溶媒不溶性脂質の全身脂肪組織における沈着などが観察され,B地区の病魚ではこれらに加えて腹部皮下組織の褐色顆粒の沈着,肝実質内の巣状壊死とその部位における結晶様構造物の存在,および腎実質内動脈内膜の空胞化が認められた。4.得られた組織学的所見から供試魚体内に過酸化脂質が過剰に蓄積していることが推察され,病魚は健康魚よりも肝臓内のマクロファージセンターの出現頻度が低かったことから,病魚体内には多量の遊離過酸化脂質が存在する可能性が示唆された。5.今回の検査では病魚の体色黄化の成因を明らかにすることはできず,また胆汁色素の組織への沈着も証明しえなかった。このことから,本病が哺乳類における黄痘と類似の病態を有しているか否かについては不明であった。
- 日本魚病学会の論文
著者
-
畑井 喜司雄
日本獣医畜産大学魚病学教室
-
和田 新平
日本獣医畜産大学・魚病学教室
-
窪田 三朗
日本獣医畜産大学魚病学教室
-
和田 新平
日本獣医畜産大学
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窪田 三郎
日本獣医畜産大学魚病学教室
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畑井 喜司雄
日本獣医畜産大学
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