炎症性喉頭麻痺
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概要
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1970年のはじめに殆んど日本全国に流行した反回神経麻痺について当教室の調査結果を報告した.症例は60例,男子33,女子27,左側罹患26,右側13,両側21,混合性8.罹患巻の最少年令は(20)才.日常行われる検査では特に原因と思われる成績に得られなかつた.われわれは病歴と血清反応から本症の発生原因をインフルエンザA2と関係が深いと考え,風邪と嗄声発症との時間的関係を5つに分けた.ウイルス殊にインフルエンザA2に対する補体結合反応を44例についてしらべた結果29例はインフルエンザA2に関係があり,6例はインフルエンザA2は証明されず,3例は判定不能,6例は追跡出来なかつたため確認不能であつた.喉頭鏡縁は極めて多彩で,それを初診時の所見により6型に分け,それと治癒過程にみられる喉頭像の変化,治癒成績との関係について論じた.治療は主に薬物療法により行われ,陳旧性のものには星状神経節遮断を行った.副腎皮質ホルモンの使用出来る症例には特に閥歇投与法を行い,最初,1クールで治らないものも2クール目に,しかもその開始数賃後に著明な音声の改善を認めることを見出した.しかし運動性の回復はおくれる,尚2クールで治らぬものに更にもう1クール使用すると更に音声の改善が認められた.全体を通し,治癒率は60例中37例は完全又はほぼ完全に治り,6例は不明,5例は全然改善が見られないか若干よくなった程度で,残りの12例はその中間の荘に属す.以上をまとめると次のようになる.1)比較的短期間に多発した2)病歴および血清反応からインフルエンザA2と関係が深い.3)20才以下の年令層にすくない.4)喉頭麻痺の像が多彩で,特に両側性が多い.5)保存的治療でかなり改善が認められる.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
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安岡 義人
群馬大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
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亀井 民雄
群馬大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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石井 英男
群馬大学医学部耳鼻口因喉科学教室
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武藤 二郎
群馬大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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原田 紀
群馬大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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