摘出モルモット回腸縦走筋標本におけるOpioidに対する耐性,依存の形成:その受容体モデルとしての有用性
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概要
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摘出モルモット回腸縦走筋-神経叢標本(標本)の電気刺激による収縮を各種のopioidが抑制し,その効力はmorphine(Mor)=methionine-enkephalin(Met-enk)>pentazocine (Pz)<pethidine(Pt)の順であった.標本を4°Cで22時間,各薬物を含む緩衝液(正常標本に対する50%抑制効果のそれぞれ150〜200倍濃度)中でincubateすることによってMor,Ptでは上記抑制効果に対する耐性が形成されたが,Pz,Mct-enkでは耐性の形成はみられなかった.Mor,Ptに対する耐性形成はそれぞれの1/10量のnaloxone(Nx)の共存で完全に阻害され,また,形成された耐性は標本を正常緩衝液に戻すことによって24時間後には消失した.MorとPt耐性標本はMet-enkに対しても耐性を示し,各薬物間に交叉耐性の成立が認められた.同様のincubationによって,Nx添加で惹起される収縮高の増大と攣縮を指標として判定される依存の形成がMor>Pt>Pzの順でみられたが,Met-enkに対しては依存は形成されなかった.回腸の回盲部から45cmまでを4部位に分け,各部位から得た標本について<SUP>3</SUP>H-dihydromorphine,<SUP>3</SUP>H-D-Ala<SUP>2</SUP>-Met-enkephalinamideおよび<SUP>3</SUP>H-Leu-enkephalinをligandとしてradioreceptor assayによってopiateおよびenkaphalin受容体の分布を検討したところ,両受容体の分布が異る上,部位によっても大きな分布の差がみられた.これら受容体の分布と上記電気刺激収縮に対する抑制効果,耐性および依存形成効果の間には必ずしも平行関係はみられず,受容体の多様性が示唆された。一定した条件下,標本は3日間の反復検定に耐え,従来の回腸片を用いるよりも安定した成績が得られ,<I>in vivo</I>でのopioidの効果との平行性からも簡素化したopiate受容体モデルとしてopiate作用物質のscreeningをはじめ,鎮痛効果,耐性,依存形成機構の研究に応用できる有用性を認めた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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金戸 洋
長崎大学薬学部薬物学教室
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金戸 洋
長崎大学薬学部
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金戸 洋
順天堂大学 麻酔科
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金戸 洋
長崎大薬学薬物
-
渡辺 穣
神戸学院大学 薬
-
渡辺 穰
Department Of Pharmacology Faculty Of Pharmaceutical Sciences Nagasaki University
-
渡辺 穣
長崎大学薬学部薬物学教室
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