活性型ビタミンD<SUB>3</SUB>に関する研究(第2報)1α-hydroxycholecalciferolのCaならびにPの動態に与える影響
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概要
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活性型ビタミンD<SUB>3</SUB>アナローグである1α-hydroxycholecalciferolのCaおよびPの動態におよぼす影響について検討した.<SUP>45</SUP>Caでラベルしたラットに12.5μg/kgの1α-hydroxy-cholecalciferolを連日経口投与すると,血清のCaレベルは著明に増加した(14〜15mg/dl).血清の比放射能は血清Caより1〜2日遅れて上昇したが,このことは,はじめ腸管からのCaの吸収が促進され,ついで骨からのCaのreleaseすなわち骨吸収が亢進したものと考えられた.尿へのCaの排泄は血清のCaの上昇に先行して増加し,血清Caが最大値を示す時期ではすでに下降しはじめ,後半ではcontrolと同じレベルを保った.血清ならびに尿中のPは変化しなかった.糞中のCaならびにPは摂餌量の減少にともなって低下した.投与後11日目に骨ならびに軟部組織のCa含量を測定したところ,骨ではCa含量がcontrolに比して有意に減少しており,netのbone resorptionが亢進されたことが明らかである.これに対して,筋肉や大動脈などの軟部組織では1α-hydroxycholecalciferol投与群に著しいCa含量の上昇すなわち石灰沈着が認められた.2.5μg/kg投与群ではCaの動きは,12.5μg/kgの場合に比して緩和であったが,ほぼ同様なpatternを示した.腸管からのCa吸収能は11日目にはcontroiのレベルに戻っていた.骨のCa含量は低下傾向を認めたが,controlとの間に有意差はなかった.これに対して軟部組織の石灰化は,腎臓以外には認められなかった.さらに6ケ月間の連続経口投与により,用量依存的に骨のCa含量が増加した.このとき,hypercal-cemiaを呈したのは0.5μg/kg/day(highest dose)のみであった.軟部組織については0.5μg/kg投与群で腎にCa沈着が認められたが,心臓では認められなかった.このように,1α-hydroxycholecalciferolは少量連続投与すれば,骨へのCa沈着を,軟部組織への石灰沈着なしに,増加し得ることが明らかとなった.1α-HCC腸管からのCa吸収促進作用と相侯って,種々の骨疾患への応用が期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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川島 博行
帝人生物医学研究所
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橋本 喜信
帝人生物医学研究所
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保科 憲二
帝人生物医学研究所
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野口 照久
帝人生物医研
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蒔田 徳太郎
帝人生物医学研究所
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岡宮 芳明
帝人生物医学研究所
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石本 祐男
帝人生物医学研究所
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折茂 肇
都立養育院内分泌科
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野口 照久
帝人生物医学研究所
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