活性型ビタミンD<SUB>3</SUB>に関する研究(第1報)1α-Hydroxycholecalciferolの主作用について
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概要
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活性型ビタミンD<SUB>3</SUB>,すなわち,1α,25-dihydroxycholecalciferolのanalogである1α-hydroxycholecalci飴rolの作用について,ラットを用いて検討した.1α-hydroxycholecalciferolは,腸管からのCaの吸収促進作用,ならびに,骨塩溶解作用に関して,ビタミンD<SUB>3</SUB>に比して速やかに,かつ,少量で作用を発現した.さらに,腎摘,および/または,甲状腺副甲状腺摘出ラットにおいても,1α-hydroxycholecalciferolは,intactなラットの場合と同様の活性を示した.以上の活性を示すのに,0.01μg/kgの用量を1回経口投与すれば十分であった.また,骨形成作用に関しても,ビタミンD<SUB>3</SUB>よりも高い活性を示した.さらに,CCl<SUB>4</SUB>による肝障害ラットにおいても,1α-hydroxycholecalciferolは,効果を示したが,肝摘ラットでは,効果を示さなかった.このことから,1α-hydroxycholecalcferolが活性を発現するためには,肝で1α-25-dihydroxycholecalciferolに変換される必要があること,また,CCl<SUB>4</SUB>による脂肪肝の状態では,25位の水酸化に関与する酵素は,intactに存在することが推察される.肝で代謝されなければ,1α-hydroxycholecalciferolの作用が発現されないという考えは,1α,25-dihydroxycholecaleiferolの作用に比して,このものの作用にlag timeが存在することからも支持きれる.以上の結果ら,腎不全その他の原因で,腎における25-hydroxycholecalciferol-1α-hydroxylaseの活性が欠損または抑制された状態にあることに起因する種々の疾患に対する医薬として,きわめて有用であると考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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川島 博行
帝人生物医学研究所
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橋本 喜信
帝人生物医学研究所
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保科 憲二
帝人生物医学研究所
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野口 照久
帝人生物医研
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岡宮 芳明
帝人生物医学研究所
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石本 祐男
帝人生物医学研究所
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折茂 肇
都立養育院内分泌科
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斉藤 典之
帝人生物医学研究所
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野口 照久
帝人生物医学研究所
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