わが国の牛肉一貫生産システムのシミュレーション:特に繁殖能力の改良,淘汰時期および性コントロールシステムの評価
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概要
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汎用シミュレーションモデルを用いて,(1)わが国の牛肉一貫生産システムにおける生物学的ならびに経済的効率に対する1回の授精の受胎率の変化や繁殖サイクル数の変更の影響をシミュレートし,(2)現行のシステムと比較して性コントロールを用いたシステムを評価した.そのようなシステムの生産性を表す指標として,母牛と後代が摂取する代謝エネルギーに対する後代の市場出荷時体重の比(E1),後代と母牛の市場出荷時体重の比(E2),後代と母牛の市場出荷時筋肉重量の比(E3)で表される生物学的効率,ならびに飼料費に対する生産物価格で表される経済的効率(E4)が用いられた.得られた結果の要約は次に示す通りである.(1)1回の授精の受胎率(f)が0.40から0.60に向上するに伴って,また繁殖サイクルの数(M)が3から8に増加するにつれて,E1は向上したが,E2,E3ならびにE4は低下した.このE2,E3およびE4の低下は主としてfやMの増加に伴って更新率が低下し集団の平均年齢が高くなったことによって成熟雌牛を維持するための摂取エネルギーや飼料費などの入力量が増加したことによるものと考えられた.(2)すべての肥育用後代を雄とするAMシステムの生産効率はすべて現行のそれより高かった.また,雌後代のみを生産し,すべての母牛は2産で淘汰すると仮定したAFシステムはE2,E3およびE4に関しては最も高く特にE4に関して顕著であった.これらの結果から一般に性コントロールシステムは現行のシステムより適していると考えられた.しかしながら,本研究においては性コントロールに要する技術料が考慮されておらず,実用には十分な検討が必要であろうと示唆された.
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