進行性遺伝性腎炎の糸球体基底膜・皮膚基底膜におけるIV型コラーゲンα1-5鎖蛋白の発現と臨床病理所見

概要

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　進行性遺伝性腎炎23家系を臨床所見と糸球体基底膜 (GBM) の電顕所見から1群: GBMに広範な網目状変化を認め腎炎の家族歴を有する10家系，2群: GBMに広範な網目状変化を認めるが腎炎の家族歴のない6家系，3群: GBMに広範な菲薄化を認めるが網目状変化はなく腎不全の家族歴を有する7家系の3群に分類し，腎および皮膚生検組織凍結切片を，α1-5鎖のNC1ドメインに対する抗体を用いて間接蛍光抗体法で観察した。1群の全10家系と2群の3家系において，α5鎖抗原は男性患者では完全に欠損，女性患者では部分的に欠損しており，X連鎖型アルポート症候群と考えられる。2群でα5鎖抗原の異常を認めた患者の母親のα5鎖抗原は正常であり，この3症例は突然変異例と考えられる。α5鎖抗原異常を認めた男性患者のα3，4鎖抗原は，重症型家系では完全に欠損，軽症型家系では発現しており，腎炎の進行はα3，4鎖により決定されると考えられる。　以上より，1) 進行性遺伝性腎炎における臨床所見，病理所見の多様性はIV型コラーゲンのα鎖の異常を反映している。2) 皮膚生検はＸ連鎖型アルポート症候群の診断に有用である。