非対称微細貫通孔を用いたマイクロチャネル乳化によるラージ微小大豆油滴の製造特性
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概要
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連続相となる液体の中に分散しているラージ微小液滴(直径50〜1000μm)は、微粒子や微小カプセルを製造するための基材として食品産業、医薬品産業などでよく利用されている。サイズが均一な単分散微粒子・微小カプセルは、細胞・微生物の内包および微粒子・微小カプセルの内部で産出された生理活性物質の徐放に有用な微小キャリアである。前述の微小材料のサイズ分布は基材となるラージ微小液滴のサイズ分布に大いに依存するため、単分散微粒子・微小カプセルを製造するためには均一径ラージ微小液滴を利用することが必要である。ラージ微小液滴の製造は多重ノズルを用いて連続相の中に分散相を滴化させて行うのが一般的である。この手法では直径200μm以上の均一径ラージ微小液滴を製造することが可能であるが、各々の液体の流量を精密に制御する必要がある上に、ノズルの並列化も容易ではない。また、回転膜乳化法とよばれる手法を用いて直径100μm程度の均一径ラージ微小液滴を製造することも可能であるが、この手法で適用可能な素材は高粘性液体に限定される。筆者らの研究グループは、独特な構造をもつ多数の並列微細流路であるマイクロチャネル(MC)アレイを利用したMC乳化を1990年代後半に提案した。MC乳化では、MCアレイを介して分散相を圧入することで液滴径が精密に制御された均一径微小液滴を製造可能である。MC乳化の液滴作製プロセスは極めてマイルドであり、なおかつ各々の液体の流量の影響も受けにくい。筆者らが最近開発した非対称貫通孔型MCアレイは、均一径微小液滴を安定かつ高生産速度で製造可能な高性能MC乳化チップである。しかしながら、非対称貫通孔型MCアレイを用いて製造可能な微小液滴の直径は50μm未満に限定されている。そこで本研究では、新たに設計した非対称貫通孔型MCアレイを用いた均一径ラージ微小液滴の製造を目的として種々の検討を行った。本研究では、マイクロホールの直径とマイクロスロットの短辺が20〜50μmの三種類の非対称貫通孔型MCアレイを用いた。MC乳化実験では分散相として精製大豆油を用い、連続相としてTween20水溶液(1.0wt%)を用いた。本研究で用いた実験装置は、WMS3チップを搭載したモジュール、シリンジポンプ、顕微鏡観察システムから構成される。
- 日本食品工学会の論文
- 2010-03-00
著者
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