アカシボに分布する無脊椎動物―尾瀬ヶ原のアカシボを中心に―
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概要
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尾瀬ヶ原のアカシボ地帯には,アカシボの発達段階に応じて, 雪上, 雪中に多様な無脊椎動物が出現する. 大型の分類群では, Oligochaeta(貧毛類), Tipulidae(ガガンボ類), Chironomidae(ユスリカ類), Ceratopogonidae(ヌカカ類)などが出現し, 小型ではNematoda(線虫類), Cyclopoida(ケンミジンコ類), Harpacticoida(ソコミジンコ類), Turbellaria(ウズムシ類), Tardigrada(クマムシ類)などであった. 大型のガガンボ類幼虫, ユスリカ類幼虫, 貧毛類は雪中の比較的上部に分布するのに対し, 小型の線虫類, ケンミジンコ類は下部に分布した. 運動性の高いソコミジンコ類は雪の上部まで分布した. これらのアカシボ動物相は, 融雪期の雪―泥界面の湛水状態と貧酸素状態の発達により湿地性の土壌動物が雪中を移動して形成されていると推定される. アカシボ動物を起点とする食物連鎖を雪生態学の観点から論じた.Various invertebrates including nematodes, oligochaetes, harpacticoids, tardigrades, cladocerans, acarina, larvae of tipulids, ceratopogonids and chironomids,appeared as internivean and supranivean fauna in Akashibo snow, a kind of red snow in the Ozegahara Mire. In these animals, larger ones such as tipulids,chironomids and oligochaetes were distributed in comparatively upper part of snow, whereas smaller tardigrades,cyclopoids and nematodes in lower part. These invertebrates were seemed to migrate up from peat surface into snow due to inundation and decrease in oxygen concentration at subnivean environments during the development of Akashibo. Food web on Akashibo snow is discussed from the point of snow ecology.
- 2012-03-31
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