視聴覚クラスにおけるイントネーション意識化の試み : 日本語日本文化研修コース上級クラスの場合
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概要
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日本語日本文化研修コース上級クラス「視聴覚演習II」では、授業目標のひとつに「祝聴覚教材を通して口頭表現能力の向上を図る」を挙げている。その主な方法としてテレビなどを録画した生の教材を用い、ディスカッション、ディベートなどで向上をはかってきたが、口頭表現の訓練には不十分な面もあった。そこで、ビデオ教材を使用して口頭表現能力を高めることを目指した授業を行った。主な目標は学習者の課題のひとつであるイントネーションの学習である。授業では、消音ビデオによる登場人物の発話内容の推測、音を伴ったビデオによる解答と実際の発話の照合、言語でしか伝わらない情報の確認、イントネーションに気をつけながらシナリオを読む、ビデオの発話とのイントネーションの対比、イントネーションの模倣、イントネーションに気をつけた会話の作成などをおこなった。その結果、学習者のイントネーションに対する意識が格段に高まった。ビデオ教材の使用と学習活動が学習者のイントネーションへの意識化をうながし、学習への動機づけを高めたと思われる。One aim of the advanced "audio-visual class" in the advanced class of the Japanese Language and Culture Course is to develop oral expression ability. Videos recorded from television have been regularly used for understanding content and for discussion, but the development of oral ability has not been emphasized. Intonation is one of the problems faced by learners in this area, and in the class reported on here classwork for improving intonation using video material was specifically planned. First, learners were required to guess the content of speech in the video material shown without sound, and to produce dialogue accordingly. They compared this with the video. In this way the learners' attention was drawn to information conveyed purely by sound. Next they read the script aloud paying attention to intonation, and then compared their reading performance with the video and imitated the intonation of the model. In this way the learners became aware of problems in their intonation. Finally they made novel dialogues using the intonation patterns in the video material. In the course of this classwork, the learners' consciousness of intonation rose noticeably.
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