TIP(パクリタキセル, イフォマイド, シスプラチン)療法が奏功した脳転移を有する再発性精巣腫瘍の1例

概要

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30歳, 男。右陰嚢内容腫脹で受診し, 右精巣は小手拳大で, alpha-fetoprotein(AFP)値, LDH値の上昇を認めた。右精巣腫瘍の診断で右高位精巣摘除術を施行した。病理学的にセミノーマ, 胎児性癌, 成熟奇形腫を認めた。AFP, LDHは低下し, stage Iと診断した。その後, 頭痛, 眩暈が出現し, MRIで右後頭部に腫瘍を認めた。AFPは上昇し, CTでは左肺野, 脾臓に腫瘍を認めた。再発性精巣腫瘍, 脳, 肺, 脾転移と診断し, シスプラチン, エトポシド, ブレオマイシンによるPEB療法を開始した。AFPは正常化しなかったため, エトポシド, イフォスファミド, シスプラチンによるVIP療法を施行したが, AFPは上昇した。肺, 脾, 脳転移の腫瘍が縮小したため, パクリタキセル, イフォスファミド, シスプラチンによるTIP療法を施行した。AFPは正常化し, 脾, 脳転移の消失, 肺転移の94%縮小を認めた。その後の腹腔鏡下肺腫瘍切除では残存腫瘍は認めず, 再発後約3年の現在, 再発は認めていない。
泌尿器科紀要刊行会の論文