合理的集運材方式に基づく長期林内路網計画に関する研究
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概要
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本論では,永続する林業経営において,永久施設としての林道の開設費を林道密度の最終目標決定因子として重きをなすことには問題があるとし,林道の償却費は木材生産費用として計上はしても,林道密度の決定には関与しないものとした。この場合,林道の償却がすべて完了した状態を想定することになり,林道密度決定に関する林道の費用は,年間維持管理費だけとなり,林道開設費と償却費は,当面の木材生産にみあった投資限界に基づくところの開設進度を決定するだけのものとなる。以上の考え方に基づくと,林道の費用は集材費や運材費同様,時価で評価することができ,従来のような利率や償却状態等の考慮は不要となり,林道網計画が非常に容易となる。具体的には林道の年間維持管理費は,開設単価時価の1.4%程度であり,これに災害復旧費を見込むと1.7%となる。林道の規格構造が最低限の規格のときに集材費と維持管理費の合計が最小となるので,このときの林道密度を「飽和密度」とよぶことにする。一方,林道上の運材費は,林道の年間木材通行量に比例して維持管理費に加算することができ,これにより年間木材通行量に応じて林道の規格構造を決定することができると同時に,飽和密度による林道費,集材費の最小化とあわせて,運材費も含めた木材生産費用を最小にすることができる。なお,一部の林道を高規格化することによる全体の維持管理費用増加が飽和密度に及ぼす影響は,まず無視することができる。また,木材生産に必要な育林作業や伐出作業のための通勤輸送費は運材費の1割程度であり,これを運材費に加算すれば,さらに計画精度を向上させることができる。年間木材生産量と林道費用にもよるが,計画対象面積が200~400ha以下ならば,林道の規格構造を最低規格の単一規格とすることができる。しかし,それ以上の面積になると,木材通行量に応じて規格構造の階層化を考えなければならなくなる。事例分析の結果,支線林道は飽和密度のままの最低規格で十分であり,計画対象面積が大きくなるにしたがって,幹線林道が順次高規格化されるようになる。1. I investigate an ideal forest-road network system which would minimize the total wood-production cost for continuous long-term forest management. I assumed that the depreciation of the road-network construction already had been finished. Indeed, the road-construction cost composed part of the wood-production cost, but I separated the depreciation cost of road construction from the costs of the final forest-road planning. The road-costruction cost or its depreciation is only a factor of progress in realization of a forest-road network, such as investment, forest resources, and forest management. The forest-road density is determined by skidding cost and annual road-maintenance cost. It becomes easier to plan forest-road networks because road costs can be estimated by the current prices similarly to skidding cost without considerations on interest rates and the various depreciation factors of roads. I proved that the lowest forest-road standard makes the total cost of skidding and road-maintenance at a minimum and gives maximum road-density. I termed this forest-road density based on the lowest standard "saturated road-density". By adding log-trucking cost to road-maintenance cost in proportion to log traffic, forest roads of the saturated road-density type can be up graded according to log traffic, which finally minimizes the total cost of forest roads, skidding, and log trucking in the planning area.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学農学部林学科,Department of Forestry, Faculty of Agriculture, University of Tokyoの論文
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