津波の規模階級の区分
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
最近88年間に,日本近海で発生した31個の津波について,波源に近い沿岸の遡上高と検測器で得られた津波データ(最大波の全振幅値)を併用し,津波の規模階級(マグニチュード,m : 今村・飯田スケール)を検討した.その結果,津波の高さHと距離Δ(震央から観測点までの海洋上の最短距離,20~2000kmの範囲)の関係図において,津波マグニチュードmの平均値はm=2.71ogH+2.7logΔ-4.3 (単位 H : m, Δ : km)で表わせる,10mを超える遡上高や,岬・島の観測値にバラつきがみらつれるが,津波の規模階級は0.5の間隔で区分できる.規模スケールは,1階級上がるとエネルギーで5倍,波高にして2.24倍の間隔で変わり,エネルギーと対応する.今回の方法で得た各津波の規模階級を,さきに筆者(羽鳥, 1979)が示した検潮データのみできめたものと比べると,m>1.5の津波では前方法によるものより0.5ほど大きく格付けされる傾向にある.一方,波源に面した沿岸において,最大波の地点から沿岸にそう直線距雑Lと波高Hとの関係をみると,津波マグニチュードはm=0.008L+2.7logH+0.31 (単位 H : m, L : km)で表わせる.津波の範囲が定量化されたことで,今村(1949)の規模階級を区分する定義を補足した.
- 1987-02-10
著者
関連論文
- 1983年日本海中部地震の余震に伴つた津波 : 付:本震による津波の発生機構
- 1983年日本海中部地震の余震に伴った津波(付:本震による津波の発生機構)
- 16. 1982年茨城県沖津波とその周辺海域の津波活動
- 日本近海における津波マグニチュ-ドの特性
- 日本海で発生した津波のソ連と韓国における波高分布
- 寛政5年(1793年)宮城沖地震における震度・津波分布
- 西津軽・男鹿間における歴史地震(1694~1810)の震度・津波調査
- 津波の規模階級の区分
- 文化元年(1804年)象潟地震の震度および津波調査
- 1985年チリ中部津波における日本沿岸の状況 : チリ津波の規模と日本・ハワイの波高予測
- 九州東部沿岸における歴史津波の現地調査 : 1662年寛文・1769年明和日向灘および1707年宝永・1854年安政南海道津波
- 別府湾沿岸における慶長元年(1596年)豊後地震の津波調査
- 小笠原父島における津波の挙動
- 1984年6月13日鳥島近海地震による特異な津波
- 天保14年(1843年)北海道東部津波の波源域
- 北海道渡島沖津波(1741年)の挙動の再検討 : 1983年日本海中部地震津波との比較
- 32. 1983年日本海中部地震津波の規模および波源域
- 日本沿岸における1996年6月10日アリューシャン津波の様相
- 熱海・初島における1923年関東地震津波の挙動
- 尾鷲市街に遡上した津波の数値実験
- 高知県南西部の宝永・安政南海道津波の調査 : 久礼・入野・土佐清水の津波の高さ
- 千島・カムチャッカ津波の規模--日本沿岸における津波挙動〔英文〕
- 1982年浦河沖地震による津波
- 日本沿岸で観測したフィリピンおよびソロモン・ニュ-ヘブリデス諸島の津波〔英文〕
- 8. 津波予報と住民の反応に関する事例調査(1) : 北海道浦河町および浜中町
- 津波予報と住民の反応に関する事例調査(2) : 新潟県村上市
- 7. 和歌山県湯浅・広に遡上した南海道津波の調査 : 1946年南海道および宝永・安政津波について
- 1996年日向灘津波と九州東部域の放出津波エネルギ-分布
- 興国2年(1341)津軽十三湊津波の調査
- インドネシア・フィリピン津波の規模特性
- 1995年チリ北部津波と日本での南米津波の規模
- 北海道東部・南千島津波による三陸港湾の波高増幅度
- 日本海で発生した津波のソ連と韓国における波高分布
- 日本海津波における大陸からの反射波
- 関東・伊豆東部沿岸における宝永・安政東海津波の挙動
- 九州東部沿岸における歴史津波の現地調査--1662年寛文・1769年明和日向灘および1707年宝永・1854年安政南海道津波
- 津波による家屋の破壊率
- 28. 熱海・初島における1923年関東地震津波の挙動
- 27. 和歌山県,湯浅・広川両町に遡上した津波の数値実験
- 17. 1982年12月28日三宅島近海地震の津波
- 6. 大船渡市街に遡上した津波の数値実験
- 1982年浦河沖地震による津波