津波予報と住民の反応に関する事例調査(2) : 新潟県村上市
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1983年日本海中部地震の際に発令された津波警報に対する,新潟県村上市の自治体当局や住民の反応について,その実態の調査を行った.海岸地域の867世帯に対してアンケート調査を行った結果,53%がすぐにも津波がくると思ったと答えており,テレビなどの情報に注意したり,海を見にいくなど外の様子に注意した人は,ともに63%程度に達している.この段階で自主的に実際に避難したとする回答は,35件,5.4%あり,この地域では,地震があれば津波の用心をするという意識はかなり高い.この意識は,1964年新潟津波の被害程度に明らかな相関が認められた.津波警報は一般に高く信用されているが,来襲津波の程度の判断などは,自分自身の過去の経験にもとついている.また津波来襲は警報発令後40分以上経過していたにもかかわらず,その段階で警報を知らなかった人がほぼ20%程度あった.これは警報伝達の方法に問題を投げかけている.船舶の処置については,地震後,直ちに行っている率がかなり高く,小舟をおかに上げたもの41.4%,10~49トンの船で港外へ避難したもの26.7%である.警報が出ると更に多くなって,小舟のおかへ上げたもの52.4%,10~49トンの船で港外へ避難したもの58.3%となっている.このため漁船の被害は生じなかった.This is the research conducted at Murakami City in Niigata Prefecture to investi gate the social responses to the tsunami warning issued immediately after the 1983 Nihonkai-Chubu earthquake. We interviewed the officials of the local administrative organs and sent written questionnaires to 867 households in the seaside districts. We received replies from 75 percent of them. The results of the research are as given below. Owing to a false report in the course of disseminating the warning, the transmission through the administrative organs was delayed. But many people spontaneously took special care about the tsunami. More than half the people paid attention to the television broadcast, or carefully watched the state of the sea. And 5.4 percent of the people took refuge in some safe place. Such cautious behavior by the people is clearly correlated with the degree of damage which they suffered from the 1964 Niigata tsunami. The tsunami hit the Murakami seashore more than 40 minutes after the warning was issued. But even then 20 percent of the inhabitants did not know the warning had been issued. This means that it is necessary to establish and rearrange the warning dissemination system to the residents. There were two ways of dealing with ships when people heard the warning ; one was to leave the harbor, the other was to beach the ships. In this earthquake, most people managed to take care of their ships properly, although a number of pleasure-boats moored near the river bank were capsized.
- 東京大学地震研究所,Earthquake Research Institute, University of Tokyo,地震研究所,地震研究所,新聞研究所の論文
- 1984-10-20
著者
関連論文
- 1983年日本海中部地震の余震に伴つた津波 : 付:本震による津波の発生機構
- 1983年日本海中部地震の余震に伴った津波(付:本震による津波の発生機構)
- 16. 1982年茨城県沖津波とその周辺海域の津波活動
- 日本近海における津波マグニチュ-ドの特性
- 日本海で発生した津波のソ連と韓国における波高分布
- 寛政5年(1793年)宮城沖地震における震度・津波分布
- 西津軽・男鹿間における歴史地震(1694~1810)の震度・津波調査
- 津波の規模階級の区分
- 文化元年(1804年)象潟地震の震度および津波調査
- 1985年チリ中部津波における日本沿岸の状況 : チリ津波の規模と日本・ハワイの波高予測
- 九州東部沿岸における歴史津波の現地調査 : 1662年寛文・1769年明和日向灘および1707年宝永・1854年安政南海道津波
- 別府湾沿岸における慶長元年(1596年)豊後地震の津波調査
- 小笠原父島における津波の挙動
- 1984年6月13日鳥島近海地震による特異な津波
- 天保14年(1843年)北海道東部津波の波源域
- 北海道渡島沖津波(1741年)の挙動の再検討 : 1983年日本海中部地震津波との比較
- 32. 1983年日本海中部地震津波の規模および波源域
- 日本沿岸における1996年6月10日アリューシャン津波の様相
- 熱海・初島における1923年関東地震津波の挙動
- 尾鷲市街に遡上した津波の数値実験
- 高知県南西部の宝永・安政南海道津波の調査 : 久礼・入野・土佐清水の津波の高さ
- 千島・カムチャッカ津波の規模--日本沿岸における津波挙動〔英文〕
- 1982年浦河沖地震による津波
- 日本沿岸で観測したフィリピンおよびソロモン・ニュ-ヘブリデス諸島の津波〔英文〕
- 8. 津波予報と住民の反応に関する事例調査(1) : 北海道浦河町および浜中町
- 津波予報と住民の反応に関する事例調査(2) : 新潟県村上市
- 7. 和歌山県湯浅・広に遡上した南海道津波の調査 : 1946年南海道および宝永・安政津波について
- 1996年日向灘津波と九州東部域の放出津波エネルギ-分布
- 興国2年(1341)津軽十三湊津波の調査
- インドネシア・フィリピン津波の規模特性
- 1995年チリ北部津波と日本での南米津波の規模
- 北海道東部・南千島津波による三陸港湾の波高増幅度
- 日本海で発生した津波のソ連と韓国における波高分布
- 日本海津波における大陸からの反射波
- 関東・伊豆東部沿岸における宝永・安政東海津波の挙動
- 九州東部沿岸における歴史津波の現地調査--1662年寛文・1769年明和日向灘および1707年宝永・1854年安政南海道津波
- 津波による家屋の破壊率
- 28. 熱海・初島における1923年関東地震津波の挙動
- 27. 和歌山県,湯浅・広川両町に遡上した津波の数値実験
- 17. 1982年12月28日三宅島近海地震の津波
- 6. 大船渡市街に遡上した津波の数値実験
- 1982年浦河沖地震による津波