27. 和歌山県,湯浅・広川両町に遡上した津波の数値実験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
過去において和歌山県湯浅湾奥の湯浅町および広川町に遡上した津波を,数値実験によって検討した.方法は摩擦項を含む浅海波方程式を,leap-frog法で差分計算するものである。まず1946年南海津波について,既に求められている波源の断層モデルを用いてシミュレーションを行った.得られた湯浅町湯浅・広川町広両地域の浸水高の分布は,浸水痕跡や住民の証言から測量した実際の津波の高さ分布とよく一致している.1854年安政南海津波のシミュレーションでは,波源断層モデルのずれの量を15%増加した場合,古記録から推定される浸水状況とよく調和する.1944年東南海津波の尾鷲,1960年チリ津波の大船渡と今回の場合を合わせて,測量された浸水高と,シミュレーションで得られたその地点の浸水高との差を全測量点にわたって求め,その標準偏差を計算すると,測量値の平均値との比で10.2%になる.また測量値およびシミュレーションの値のちらばりは,各ケースによって異っているが,一般にシミュレーションの値の方がちらばりが少く,平滑化された値が得られていることがわかる.Simulation of tsunami inundation has been carried out numerically by the finite difference method (leap-frog method) on the basis of shallow water equation for the 1946 and 1854 tsunamis in the vicinity of Yuasa Bay, Wakayama Prefecture. The tsunami source models by AIDA (1981) are available for these tsunamis. The effective friction coefficient is assumed to be 1.0 for the most crowded housing areas and 0.2 for other urban areas. For the 1946 Nankai tsunami, the distribution of simulated inundation heights at Yuasa and Hiro in the innermost part of Yuasa Bay is in good agreement with the actual heights obtained by a field survey of traces of inundated water or the evidences pointed out by the residents. For the 1854 Ansei-Nankai tsunami, a 15% larger slip of fault than that of the published model was required to fit the simulated results to the inundation heights estimated from old documents. For the 1946 tsunami, the standard deviation of differnces between the surveyed and the simulated inundation heights are calculated in the 4 separated areas. They are 8.2 to 13.3% of the average value of surveyed heights in each area. Averaging the results of three simulations: the 1944 Tonankai tsunami in Owase City, the 1960 Chile tsunami in Ofunato City and the present one, it is found that the relative standard error of the simulated inundation heights is about 10% with respect to the average value of surveyed data.
- 1984-01-14
著者
関連論文
- 1983年日本海中部地震の余震に伴つた津波 : 付:本震による津波の発生機構
- 1983年日本海中部地震の余震に伴った津波(付:本震による津波の発生機構)
- 16. 1982年茨城県沖津波とその周辺海域の津波活動
- 日本近海における津波マグニチュ-ドの特性
- 日本海で発生した津波のソ連と韓国における波高分布
- 寛政5年(1793年)宮城沖地震における震度・津波分布
- 西津軽・男鹿間における歴史地震(1694~1810)の震度・津波調査
- 津波の規模階級の区分
- 文化元年(1804年)象潟地震の震度および津波調査
- 1985年チリ中部津波における日本沿岸の状況 : チリ津波の規模と日本・ハワイの波高予測
- 九州東部沿岸における歴史津波の現地調査 : 1662年寛文・1769年明和日向灘および1707年宝永・1854年安政南海道津波
- 別府湾沿岸における慶長元年(1596年)豊後地震の津波調査
- 小笠原父島における津波の挙動
- 1984年6月13日鳥島近海地震による特異な津波
- 天保14年(1843年)北海道東部津波の波源域
- 北海道渡島沖津波(1741年)の挙動の再検討 : 1983年日本海中部地震津波との比較
- 32. 1983年日本海中部地震津波の規模および波源域
- 日本沿岸における1996年6月10日アリューシャン津波の様相
- 熱海・初島における1923年関東地震津波の挙動
- 尾鷲市街に遡上した津波の数値実験
- 高知県南西部の宝永・安政南海道津波の調査 : 久礼・入野・土佐清水の津波の高さ
- 千島・カムチャッカ津波の規模--日本沿岸における津波挙動〔英文〕
- 1982年浦河沖地震による津波
- 日本沿岸で観測したフィリピンおよびソロモン・ニュ-ヘブリデス諸島の津波〔英文〕
- 8. 津波予報と住民の反応に関する事例調査(1) : 北海道浦河町および浜中町
- 津波予報と住民の反応に関する事例調査(2) : 新潟県村上市
- 7. 和歌山県湯浅・広に遡上した南海道津波の調査 : 1946年南海道および宝永・安政津波について
- 1996年日向灘津波と九州東部域の放出津波エネルギ-分布
- 興国2年(1341)津軽十三湊津波の調査
- インドネシア・フィリピン津波の規模特性
- 1995年チリ北部津波と日本での南米津波の規模
- 北海道東部・南千島津波による三陸港湾の波高増幅度
- 日本海で発生した津波のソ連と韓国における波高分布
- 日本海津波における大陸からの反射波
- 関東・伊豆東部沿岸における宝永・安政東海津波の挙動
- 九州東部沿岸における歴史津波の現地調査--1662年寛文・1769年明和日向灘および1707年宝永・1854年安政南海道津波
- 津波による家屋の破壊率
- 28. 熱海・初島における1923年関東地震津波の挙動
- 27. 和歌山県,湯浅・広川両町に遡上した津波の数値実験
- 17. 1982年12月28日三宅島近海地震の津波
- 6. 大船渡市街に遡上した津波の数値実験
- 1982年浦河沖地震による津波