植物におけるトレハロース代謝とその機能(糖質関連酵素化学シンポジウム)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
トレハロースはグルコースがα,α-1,1結合した二糖であり,微生物や昆虫では,エネルギー源や乾燥等からの生体膜やタンパク質の保護物質として働くことが知られている。一方,植物においてはトレハロースの検出が困難であったことから,長い間トレハロースの生合成は否定されてきた。90年代後半に植物から初めてトレハロース生合成遺伝子が単離され,高等植物中にもトレハロースが存在することが明らかになった。しかし,植物中の蓄積量は極微量であり,貯蔵糖やストレス保護物質であることは考えにくい。最近の研究で,トレハロースの生合成が植物の発生やストレス応答において重要な調節機能をもつことがわかってきた。特にトレハロース6-リン酸が植物の糖代謝において重要なシグナル物質であることが明らかになりつつある。本稿では,植物においてトレハロース生合成が示すユニークな機能を紹介する。
- 日本応用糖質科学会の論文
- 2011-04-20
著者
-
松井 博和
北海道大学 農
-
島 周平
農研機構北農研:北大院農:理研・基幹研
-
島 周平
農業・食品産業技術総合研究機構・北海道農業研究センター
-
今井 亮三
農業・食品産業技術総合研究機構・北海道農業研究センター
-
藪内 威志
農業・食品産業技術総合研究機構・北海道農業研究センター
-
加藤 英樹
農業・食品産業技術総合研究機構・北海道農業研究センター
-
松井 博和
北海道大学大学院農学院
-
今井 亮三
農業・食品産業技術総合研究機構・北海道農業研究センター:北海道大学大学院農学院
-
島 周平
理研・基幹研
関連論文
- 25.植物におけるトレハロースの新機能 : トレハロースはイネの防御応答を活性化する(口頭発表)
- Arthrobacter globiformis W31の産生する2種のエンドデキストラナーゼの精製および特性
- イソマルトデキストラナーゼのサブサイト親和力の評価
- Brevibacterium fuscum var. dextranlyticum 0407 株由来α-グルコシダーゼ様遺伝子の単離と配列分析
- α-1,6およびα-1,4グルコシド結合に加水分解活性を有するイソマルトデキストラナーゼの活性部位の検討
- 乳糖とトレハロースの構造を併せもつ非還元三糖の酵素合成
- トラマメ(Phaseolus vulgaris L.)発芽子葉α-アミラーゼcDNAのクローニング
- トラマメ登熟種子中におけるアミラーゼおよび枝つけ酵素
- テンサイα-グルコシダーゼの基質特異性と全一次構造
- Aspergillus niger結晶α-グルコシダーゼの一次構造と糖鎖
- Brevibacterium fuscum var. dextranlyticum由来イソマルトトリオデキストラナーゼの諸性質の再検討
- Aspergillus oryzae由来の3種のα-グルコシダーゼの性質
- コメα-グルコシダーゼIIの活性解離基の同定
- トラマメ(Phaseolus vulgaris L. cv Toramame)発芽子葉α-Amylaseの基質特異性とサブサイト親和力
- イソマルトデキストラナーゼによる酸処理デキストランからのイソマルトースの新しい調製法
- 62.ツベロン酸グルコシルトランスフェラーゼの精製とその生理的作用に関する研究(口頭発表)
- インゲンマメ Starch Synthase IIアイソザイムの多様性
- Arthrobacter globiformis I42 由来 oligo-1,6-glucosidase 遺伝子の単離, 発現および組換え酵素の諸性質
- Clostridium thermoamylolyticum 由来 glucoamylase 遺伝子の単離, 発現および組換え酵素の諸性質
- インゲンマメ緑葉に存在する Granule-bound Starch Synthase I アイソザイム
- インゲンマメ ADP-glucose pyrophosphorylase cDNAs の単離と特性
- インゲンマメ登熟種子Granule-bound Starch Synthase I cDNAの単離と発現
- 好アルカリ性 Bacillus sp. HM-127 株由来α-グルコシダーゼの精製および諸性質
- 「基質特異性」の誕生から100年を経て : α-グルコシダーゼはβ-結合にも作用する
- 北海道における遺伝子組換え作物栽培条例にみる合意形成
- 植物のデンプン生合成関連酵素の酵素化学的研究
- 21世紀における科学と社会のあり方
- Starch branching enzyme の酸素特性と細胞内局在性
- 国際シンポジウム : 「デンプン科学および糖質関連酵素研究における最新アプローチ」
- 植物の耐凍性を向上させるRNAシャペロン遺伝子
- 酸性α-グルコシダーゼの活性部位に関する反応速度論的研究
- 植物におけるトレハロース代謝とその機能
- 89 . イネにおけるJAZ タンパク質を介したジャスモン酸シグナル経路(口頭発表,植物化学調節学会第47回大会)
- 85. イネの誘導抵抗性におけるエチレンシグナルの重要性の解析(口頭発表,植物化学調節学会第47回大会)
- 生きるとは, 学ぶとは : 生命, 食糧, 環境の教育研究から考える
- セロビオース2-エピメラーゼを用いたエピラクトースの実用的酵素合成法の開発(応用糖質科学シンポジウム)
- Molecular Cloning of a cDNA Encoding Granule-bound Starch Synthase I from Kidney Bean Seeds and Expression in Escherichia coli
- 植物におけるトレハロース代謝とその機能(糖質関連酵素化学シンポジウム)
- 9B05 シロイヌナズナを用いた亜リン酸による病害抵抗性誘導機構の解析(作用機構・抵抗性(殺菌剤),一般講演要旨)
- セロビオース2-エピメラーゼを用いたエピラクトースの実用的酵素合成法の開発