時系列解析による回避条件下での心拍変化と情動成分との対応(<特集>不安のコントロール)
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概要
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本研究は,回避条件下にみられる心拍変化を構成している複数の変化パターンを抽出し,これに対応する情動成分を指摘しようとする試みである。嫌悪刺激到来条件下における心拍変化を不安や恐怖に対応づけるか期待や希望に対応づけるかは,専ら回避条件いかんにかかっている。そこで本実験では,回避行動を行なうまでの時相(P-1)にみられる心拍変化と,回避行動から電撃の到来を待つまでの時相(P-2)における心拍変化とを,意味の異るものとしてとらえ,回避行動の成功確率のちがいが,これら時相における心拍水準と変化パターンにどのような影響を与えるかを検討した。その結果は次のとおりである。(1)回避成功確率が高い場合においては,P-1の心拍が高く,P-2の心拍は低くなるが,逆に回避成功確率が低い場合には,P-1の心拍が低く,P-2の心拍が上昇することがわかった。特にP-1の心拍水準と回避条件との間に深い関連がみとめられた。(2)心拍の時系列パターンについてみると,回避条件と関連が深いのはP-2の心拍パターンであり,P-1の心拍水準が回避条件と対応するのにくらべ,極めて対比的現象といえる。(3)P-1の心拍変化は期待や希望・積極的対処に対応する変化であり,P-2の心拍変化は恐怖や不安に対応する情動変化を反映していると考えてよいだろう。
- 日本行動療法学会の論文
- 1985-03-31
著者
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