局所麻酔下胸腔鏡 : 他疾患への有用性の検討

概要

論文の詳細を見る
背景.局所麻酔下胸腔鏡検査は,原因不明胸水に対して局所麻酔にて内科医も施行できる胸腔鏡検査である.悪性胸膜中皮腫・結核性胸膜炎など様々な呼吸器疾患の診断に有用であり,多くの報告がされている.しかし,他疾患への有用性の報告は少ない.方法. 2008年3月から2012年12月に,原因不明胸水76例に対して局所麻酔下胸腔鏡検査を施行した.他疾患に関して,胸腔鏡所見・病理組織学所見などにて診断に至った症例を検討した.結果. 76例中,呼吸器疾患の症例は58例,診断に至らなかった症例は6例であり,他疾患の症例は12例であった.悪性腫瘍に関しては,呼吸器疾患の診断率84.6%,他疾患の診断率66.7%であり,他疾患の方が診断率が低かった.他疾患の症例12例は,平均年齢67歳(40〜84歳)で,男性10例,女性2例であった.リウマチ性胸膜炎2例, SLEによる胸膜炎1例,腎性胸水3例,肝性胸水2例の診断に至り,他腫瘍からの胸膜転移としては腎癌胸膜転移2例,血液疾患からの胸膜転移2例(MALTリンパ腫1例,骨髄異形成症候群1例)の診断に至った.それぞれの疾患により異なる胸腔鏡所見を認めた.結論.局所麻酔下胸腔鏡検査は呼吸器疾患だけでなく,他疾患の診断にも有用である.
日本呼吸器内視鏡学会の論文
2013-09-25