ラット海馬スライスにおける,カルバコール誘導神経振動現象に対する温度の影響について

概要

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ラットの体温や脳の温度(脳温)が変化すると,記憶・学習課程へ影響することが報告されている.ラットの脳内において観察される脳波には,記憶学習に関わるθ波やβ波がある.これらの脳波のうち,θ波に関しては,その発生が温度に依存することが観察されているが,β波に関しては明らかにされていない.生体β波は,海馬スライスにおいても,β振動として誘導することができる.そこで本研究では,生体脳波β波モデルである,海馬スライスにおいて誘導されるβ振動の温度依存性を明らかにすることを目的とする.海馬スライスを,異なる温度環境に置き,カルバコールを投与した結果,27℃においては,θ,β波周波数帯域のバースト振動が観察された.29-35℃では,β波周波数帯域のバースト振動が観察され,39℃においては,バースト振動現象は見られず,異なる振動現象が誘導された.これにより,温度によって,神経振動のパラメータが制御され,バースト様振動のFrequencyが変化し,異なる振動モードに移行することが示唆される.また,温度変化の脳内情報処理への関与を議論する.
2012-03-20