グルタミン酸によって誘導される脳内アストロサイトの細胞内Ca^<2+>濃度振動

概要

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脳内に存在するグリア細胞の一種であるアストロサイトは神経細胞と共に脳内情報処理への関与が示唆されている。培養アストロサイト系において、細胞内[Ca^<2+>]iが自発的な振動を生じていることが明らかになっているが、さらに神経伝達物質であるグルタミン酸刺激を行うと、様々な細胞内[Ca^<2+>]i応答が誘導される。本研究では、非興奮性細胞の細胞内[Ca^<2+>]i濃度振動モデルとして提案されているDe-YoungとKeizerらのモデルを改良して、グルタミン酸刺激によるアストロサイトの[Ca^<2+>]i濃度応答及び自発的な[Ca^<2+>]i振動のシミュレーションを行った。オリジナルモデルを用いると、自発的な[Ca^<2+>]i振動は生じなかっが、[Ca^<2+>]iによって活性化され、IP_3産生を行うPLCδの項を導入すると、グルタミン酸刺激による[Ca^<2+>]i濃度応答及び自発的[Ca^<2+>]i濃度振動が観察出来た。さらに、適当なPLCδ発現量では、IP_3受容体刺激により[Ca^<2+>]i振動の停止及び再開が可能であった。以上の結果は、PLCδ分子が、アストロサイトにおけるグルタミン酸誘導[Ca^<2+>]i振動へ寄与していると考えられる。
2003-03-10