中国東北部の森林資源の利用と開発に関する歴史的研究(II) : 集中的計画経済後半期(1963〜1980)の木材生産の暴走とその原因について
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概要
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1958年からの大躍進運動後,中央政府は「永続利用」の方針で林業に伐採と育林のバランスのとれた調整を行なったが,まもなく政治運動の影響を受けて東北部の森林資源に対して再び大規模な開発を進めた。本論は集中的計画経済前半期の流れに続く後半期(1963〜1980年)における東北部の「永続利用」方針下での森林開発と,その後の破壊的な森林開発の実態,およびそれらを推し進めた諸要因を明らかにし,この期の森林利用の時代的性格を明らかにすることを目的とした。その際,当時の林業政策の転換,さらに木材生産量の増大,森林の面積・蓄積量の減少および森林開発を進めた条件(諸施設,労働力などの実態)などもあわせて明らかにした。その結果,統制された木材生産量は,再び工業を中心に諸産業需要に伴って増大され,同時に林業機械化の推進および労働者の移住などが国家的政策として進められ,また文化大革命期には計画外の乱伐および木材生産工程中の浪費などにより,当地域の森林資源は深刻なダメージを受けた。したがって,この期の森林開発は,政治運動に左右された資源の略奪的政策とそれによる人為的破壊を推し進めた林業経営によって,森林の質と量を大きく減退させたと結論付けられた。
- 森林計画学会の論文
- 2007-12-31
著者
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