森林資源の成熟度および保続可能性の評価手法に関する研究
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概要
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我が国の人工林においては,間伐など保育を要する9齢級以下の森林が未だ過半を占め,また最近では造林面積が急減していることから,資源の持続性に対する悲観論も聞かれる。そこで本論では,すでに提起されている南雲と白石の方法を取り上げて比較し,森林資源の成熟の程度と保続可能性を客観的に評価するための手法を検討した。南雲の評価法は同じ輪伐期をもつ法正株を基準としており,それよりも全般に成熟していれば保続可能と判定するが,要件が厳しいために,過熟化を招きやすい。白石の方法は単純であるが,初期状態のみの評価であるため著しく不法正な齢級構成に対しては適用に限界がある。こうした両者の特徴を統合し,簡便で情報量の多い評価法を新たに考案し,例として我が国の人工林の成熟度を評価した。その結果,国内の人工林資源はすでに輪伐期70年で保続可能な状態であり,充分に成熟していることが明らかとなった。
- 森林計画学会の論文
- 2006-12-31
著者
-
広嶋 卓也
東京大学大学院農学生命科学研究科附属科学の森教育研究センター千葉演習林
-
白石 則彦
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
白石 則彦
東京大学大学院 農学生命科学研究科 森林科学専攻
-
大久保 圭
東京大学大学院農学生命科学研究科
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