森林認証を通した地域森林管理の活性化試案(<特集>2006年春 林業経済学会・森林計画学会合同シンポジウム)
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概要
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最近10年程の間に市場がもたらした木材消費構造の変化は林業に新たな打撃を与えている。林業の採算性の悪化は管理放棄・再造林放棄を発生させ,コスト重視の大面積皆伐を誘発し,それがさらなる材価の低下を引き起こすという悪循環に陥っている。一方で,意識の高い林家や林業地において森林認証への関心が高まっている。本論では森林認証を地域森林の集団化のツールとして利用し,適切な森林管理を実現する枠組みを提言した。森林認証の便益は,(1)市場における優位性,(2)経営体質の強化,(3)森林の管理水準の改善,の3通りに大別される。森林認証を取得する過程で,林業への意識や関係者間の意志疎通が高まることを指摘し,地域としての連帯感の醸成が上記の悪循環を断つ可能性を示唆した。またここでは認証の便益のうち特に(2)と(3)に着目し,私有林経営から公有林管理に至るさまざまなケースに対応する多様な地域森林管理の形を,森林構成,資源管理者,経営目的や目指す市場等に応じて例示した。そして森林認証が林業経営の自助努力を引き出すツールであると結論づけた。
- 2006-06-30
著者
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