未破裂脳動脈瘤の自然経過 : SUAVe Studyを含めて(<特集>脳動脈瘤に対する新たな考え方)
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概要
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Small Unruptured Intracranial Aneurysm Verification Study (SUAVe Study, Japan)は小型未破裂脳動脈瘤の自然歴に関する研究であり,径5mm未満の未破裂脳動脈瘤の破裂率,増大率とそれぞれにかかわる危険因子を前方視的に検討した.2000年9月〜2004年1月までの3年4ヵ月間に540動脈瘤(446症例)が登録され,448動脈瘤(374症例)が平均42.5ヵ月間(1,306.2人・年,1,553.5動脈瘤・年)のfollow-up期間で経過観察された.観察期間中7症例(1.9%)にくも膜下出血を生じ,年間の破裂率は0.54%(単発症例0.34%,多発症例0.95%)であった.破裂にかかわる危険因子は年齢50歳未満,動脈瘤径4.0mm以上,高血圧,多発瘤であった.25症例(6.7%)に動脈瘤の増大を認め,その危険因子は動脈瘤径4.0mm以上,女性,多発瘤,喫煙であった.小型未破裂脳動脈瘤の破裂率は非常に低く,安定した動脈瘤と考えられる.しかし,上記リスクを抱える症例は,将来的に動脈瘤の破裂や増大にかかわる可能性を秘めており,注意深い観察や破裂予防処置を考慮する必要がある.
- 2012-04-20
著者
-
菊池 晴彦
神戸市立医療センター中央市民病院
-
園部 眞
国立病院機構仙台医療センター
-
米倉 正大
国立病院機構長崎医療センター
-
山崎 友郷
国立病院機構水戸医療センター脳神経外科
-
園部 眞
国立病院機構 水戸医療センター 脳神経外科
-
山崎 友郷
国立病院機構 水戸医療センター 脳神経外科
-
菊池 晴彦
神戸市民中央病院脳神経外科
-
米倉 正大
国立病院機構 長崎医療センター 脳神経外科
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