高速液体クロマトグラフィーによる簡便迅速なグラヤノトキシン類の定量について

概要

論文の詳細を見る
グラヤノトキシン(以下GTXと略称)I〜IIIで代表されるGTX類は,ツツジ科(Ericaceae)植物に含まれる有毒成分であり,グラヤナン(A-nor-B-horno kaurane)骨格を有する四環性ジテルペンである.これらGTX類の生理活性については,血圧降下作用,副交感神経興奮作用及び中枢神経抑制作用などが知られている.また,そのGTX類毒性については,その官能基の違いによって,かなり差異が認められる.著者らもすでに,GTX類の一つであるGTX IIIについて,ラットを使った毒性実験を行い,急性中毒においては重篤な症状を示すことを明らかにした.ところで,近年,蜂蜜の摂食による複数の食中毒例が報告されており,その中毒の原因はGTX類指摘されている.このことから,蜂蜜中の,GTX類の簡便迅速な検出による的確な予防対策が望まれる.しかし,現在,蜂蜜中のGTX類を迅速に分離定量できる実用的な測定法は見あたらない.そこで,今回,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による迅速かつ高感度のGTX類の定量法の検討を行い,実用に供し得る結果が得られたので報告する.
1993-12-20