台湾集集大地震における慈済功徳会の活動

概要

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災害救援研究の最大の目的は、災害を巡る「協働想起」の場を準備することであろう。本稿では、災害救援の一事例として、台湾の集集大地震(1999年9月21日)における「慈濟功徳會(慈済)」の活動を取り上げ、災害の集合的記憶の協働想起をめぐる諸問題、つまり、記憶の対話の場や表現方法について考察を行った。筆者らは、集集大地震発災直後の訪問記録、関係者へのインタヴュー結果、及び各種文献・資料から、慈済について、「慈済の発展及び社会的背景」、「組織システムと対人ネットワーク」、「災害救援の特徴」の3側面から検討した。その結果、慈済は、一連の災害援助活動を現在も継続するとともに、様々な手段で、その「記憶」を残そうとしていることが示された。筆者らは、慈済の取り組みを、協働想起のための様々なツールを設え、死者や弱者などの声なき声に基づき、集合的記憶を生成する試みであると考察した。集集大地震から5周年、また、阪神・淡路大震災から10周年を迎えようとしている現在、慈済の活動を詳述することは、単に海外の一地域における災害救援システムの一端を紹介するに留まらず、災害をめぐる集合的記憶の協働想起のための手法にも示唆を与えるものになるだろう。
国際ボランティア学会の論文
2005-02-28

台湾集集大地震における慈済功徳会の活動

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