プロテイナーゼ阻害剤を用いるプロトプラストの調製と再生の改善

概要

論文の詳細を見る
プロトプラストの作出は,細胞融合や遺伝子工学などの応用に有用な技術である.著者らは,Trichoderma harzianumから調製した細胞壁溶解酵素を用いるプロトプラスト調整法において,プロテアーゼ活性を抑制できる阻害剤を見出した.種々の阻害剤を試験したところ,セリン-チオールプロテイナーゼを特異的に阻害する微生物由来アルカリプロテアーゼ阻害剤(MAPI)のみがTrichoderma酵素製品中のプロテイナーゼ活性を効果的に阻害した.Trichoderma酵素標品を用いたプロトプラスト調製では、プロトプラスト数は反応開始後2-3時間で最大数に達し,その後、徐々に減少した.一方,MAPIを添加したプロトプラスト作出反応では,2時間の反応でプロトプラスト数はMAPI無添加の約90%に達し、その後,4時間以降もプロトプラスト数が増加した.さらに,MAPIを添加して調製したプロトプラストは,無添加で調整したプロトプラストよりも2.2倍の再生率を示した.また,この数値は,ベントナイト処理によりプロテイナーゼ活性を減少させた製品に比べて,10%高い値を示した.
日本きのこ学会の論文
2006-07-25