科学衛星「はるか」の位相基準信号伝送システム : 臼田地上局システムを中心にして
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
科学衛星「はるか」(打ち上げ前の名称MUSES-B)のために開発した位相基準信号伝送システムに関して,臼田局システムを中心に述べている.位相基準信号の伝送 (phase transfer) は位相安定度の高い標準周波数信号を地上局から衛星へ電波によって送るもので,スペースVLBI(超長基線干渉計)を成立させるために必要な基本技術の一つである.「はるか」では,電離層の影響を配慮して,アップリンクの周波数を15.3GHz,ダウンリンクの周波数を14.2GHzとし,臼田宇宙空間観測所に,次のようなシステムを形成した.(1)水素メーザ原子周波数標準器を源発信器として,地上局から,衛星における受信周波数が丁度15.3GHzになるように,衛星の軌道運動によるドップラー周波数シフトを補正して送信し,(2)衛星上の位相同期受信機出力からコヒーレントに生成された周波数14.2GHzのダウンリンク送出波を,地上局において受信,(3)その受信信号から,往復(two-way) ループの位相と,往復のドップラー周波数シフトを計測する.システムの設計・製作に当たっては,高位相安定度達成のために,機器設計,回路構成,温度安定度などに大きな注意を払った.地上系の折り返し試験を衛星シミュレータを用いて行い,製作したシステムが目標とした位相安定度特性を満たしていることを確認した.「はるか」打ち上げ後,地上-衛星-地上のループにおいて,システムの機能と性能の確認を行った.以後,本システムは「はるか」によるスペースVLBI観測(VSOP観測)において,その役割を十分に果たしてきている.
- 宇宙航空研究開発機構の論文
著者
-
村田 泰宏
宇宙航空研究開発機構
-
加藤 隆二
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部
-
山本 善一
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部
-
川口 則幸
国立天文台
-
藤沢 健太
山口大学理学部
-
広沢 春任
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部
-
佐川 一美
NEC東芝スペースシステム(株)
-
井上 浩三郎
文部省宇宙科学研究所
-
佐川 一美
日本電気株式会社
-
大橋 清一
日本電気株式会社
-
松本 操一
三菱電機株式会社
-
市川 勉
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部
-
川口 則行
国立天文台
-
松本 操一
三菱電機
-
平林 久
文部省宇宙科学研究所
-
村田 泰宏
文部省宇宙科学研究所
-
市川 満
文部省宇宙科学研究所
-
廣澤 春任
文部省宇宙科学研究所
-
佐藤 巧
三菱電機
-
佐藤 巧
三菱電機株式会社
-
山本 善一
文部省宇宙科学研究所
-
宮地 竹史
国立天文台
-
小林 秀行
国立天文台
-
藤沢 健太
国立天文台
-
Kawano Nobuyuki
National Astronomical Observatory Of Japan Iwate Jpn
-
山田 三男
宇宙科研
-
広澤 春任
宇宙科学研究所
-
Kawano Nobuyuki
National Astronomical Observatory Iwate Jpn
-
平林 久
宇宙研
-
山田 三男
文部省宇宙科学研究所
-
増田 裕一
日本電気株式会社
-
加藤 隆二
文部省宇宙科学研究所
-
市川 勉
文部省宇宙科学研究所
-
中溝 幸伸
日本電気株式会社
-
市川 満
文部省宇宙科学研究所(元)
-
平林 久
無所属
関連論文
- 月電離層の電波掩蔽観測
- 深宇宙探査機の追跡電波の解析 : 太陽風の速度の推定
- ロケットの噴煙による通信波の電波減衰の検討
- ASTRO-G通信系概要(宇宙応用シンポジウム-観測・通信衛星の軌道上評価と将来衛星搭載機器開発-)
- Four-way communication links for the lunar gravity measurements by SELENE/KAGUYA Mission(WSANE 2009 (Workshop for Space, Aeronautical and Navigational Electronics))
- High-Accuracy VLBI Observations for the Lunar Gravity Measurements by SELENE Mission(WSANE 2009 (Workshop for Space, Aeronautical and Navigational Electronics))
- 30aSC-5 ブラックホール解像望遠鏡「ほらいずん」によるその観測的時空研究(30aSC 重力波,宇宙線・宇宙物理領域)
- Inverse VLBI by Various Techniques for Planetodesy(WSANE 2009 (Workshop for Space, Aeronautical and Navigational Electronics))
- B-2-53 深宇宙探査用再生型測距の地上・搭載閉ループ評価実験(B-2.宇宙・航行エレクトロニクス,一般講演)
- B-2-3 深宇宙探査機のための測距地上システムの開発(B-2.宇宙・航行エレクトロニクス,一般講演)
- スーパーSINETを用いたギガビット・リアルタイム測地e-VLBIの開発
- NICTにおける宇宙飛翔体位置決定を目的とするVLBI実験結果(衛星応用技術及び一般)
- [招待論文]超高速ネットワーク技術の先端科学への適用 : リアルタイムVLBI研究プロジェクト(GALAXY)(次世代ネットワーク,Volp,一般)
- B-6-15 2.4Gbps 光結合 VLBI 観測を実現するギガビットネットワークアクセス装置の開発
- VSOP-2の国際協力について
- 相関器とその制御システム
- 電波天文衛星(ASTRO-G)搭載用オフセットカセグレンアンテナ光学系の検討および8GHz帯受信機の開発
- 長パルス一次レーダ機能を備えた科学衛星打ち上げ追跡用レーダ設備
- 科学衛星「はるか」のアンテナ展開実験
- スペースVLBI衛星MUSES-Bとその運用
- VSOP-2広帯域データダウンリンク
- VSOP-2によるバイナリーブラックホールの軌道運動の検出
- Current status of the VLBI Space Observatory Programme (第2回宇宙科学シンポジウム)
- 次期スペースVLBI衛星における高速デジタル受信系と超高速LSI耐放射線評価 (第2回宇宙科学シンポジウム) -- (電波ミッション(次期スペースVLBIワーキンググループ))
- VSOP2で期待される成果--VSOP2サイエンス検討会報告 (電波ミッション 次期電波天文衛星(VSOP2)計画)
- 観測システムと開発 (電波ミッション 次期電波天文衛星(VSOP2)計画)
- 科学衛星「はるか」のスペースVLBI実験
- フェーズレトリーバルホログラフィ法による大口径リフレクタアンテナの鏡面誤差測定 : 外挿アルゴリズムの適用
- フェイズ・レトリーバル・ホログラフィ法によるリフレクタ・アンテナの鏡面精度推定 : 外挿アルゴリズムの適用
- C-2-25 43GHz帯極低温LNA MMICの設計(C-2. マイクロ波A(マイクロ波・ミリ波能動デバイス),一般セッション)
- C-2-24 22GHz帯冷却低雑音増幅器MMICの試作(C-2. マイクロ波A(マイクロ波・ミリ波能動デバイス),一般セッション)
- 史上最高の分解能で宇宙を見るスペースVLBIミションASTRO-G計画について(宇宙探査・計測,及び一般)
- 内之浦34mVLBI局立ち上げ
- H_2O Maser Outflow from the Red Supergiant Star NML Cygni Observed with Japanese VLBI Network
- Japanese VLBI Network Observations of Radio-Loud Narrow-Line Seyfert 1 Galaxies
- Bigradient Phase Referencing
- Multi-Epoch VERA Observations of H_2O Masers in OH 43.8-0.1
- Studying Black Holes with VERA(Poster)
- VERA Observation of the W 49N H_2O Maser Outburst in 2003 October
- First Fringe Detection with VERA's Dual-Beam System and Its Phase-Referencing Capability
- J-Net Galactic-Plane Survey of VLBI Radio Sources for VLBI Exploration of Radio Astrometry (VERA)
- B206 あかつき電波掩蔽による金星大気の温度分布と硫酸蒸気分布の観測計画(スペシャル・セッション「金星気象衛星「あかつき」の科学」,口頭発表)
- イオンエンジンで航行する探査機の軌道決定 : 「はやぶさ」 : 打ち上げから2004年までの結果
- BK-1-3 深宇宙探査機の軌道決定(BK-1. 月・惑星探査などの観測・通信システム, 通信1)
- 小惑星探査機「はやぶさ」の軌道決定--2004年までの結果
- 軌道決定ソフトウェアISSOPによる相対VLBIデータを用いた軌道決定
- これまでのミッションの軌道決定及び今後の展望
- 軌道決定の将来計画--海外局や相対VLBIの可能性
- 「のぞみ」の軌道決定--打ち上げからの履歴
- F22-(6) 深宇宙探査機の軌道決定
- 宇宙研における天文衛星・惑星探査機の軌道決定の現状と将来 (第2回宇宙科学シンポジウム)
- A Bipolar Outflow of the M-Type Giant IRC-10414 Traced by H_2O Maser Emission
- Variable Asymmetry of the Circumstellar Envelope in IK Tauri Traced by SiO Maser Emission
- VSOP-2計画の現状
- 科学衛星「はるか」のスペースVLBI実験
- B-1-123 集束ビーム給電S/X/Ka帯共用φ34mアンテナ
- B-3-20 科学衛星搭載用 X バンドトランスポンダの開発
- SB-2-5 科学衛星搭載用X帯QPSK/PM変調器
- 科学衛星搭載用高感度Sバンド受信機の開発
- 火星探査機'のぞみ'のスピンによるドップラー周波数短周期変動の解析
- ΔVLBI航法について
- GPSを用いた人工衛星の自律航法
- MUSES-B航法について
- 宇宙電波望遠鏡「はるか」の基準信号伝送系における伝搬位相揺らぎ
- スペースVLBI観測のためのアップリンク周波数制御
- ボイジャー2号海王星掩蔽実験のための受信システム
- 鹿児島宇宙空間観測所34mアンテナ科学衛星追跡局
- 2GHz帯無線システム相互干渉に関わるフィールド試験
- 2GHz帯無線システム相互干渉に関わるフィールド試験
- M-Vロケットの噴煙による電波減衰について
- B-2-27 M-Vロケットの噴煙による通信波の減衰と位相擾乱の評価(B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス,一般セッション)
- M-V型ロケットにおけるテレメータ/コマンド (M-V型ロケット(1号機から4号機まで))
- M-V型ロケットにおけるダウンレンジ局 (M-V型ロケット(1号機から4号機まで))
- B-2-53 観測ロケット搭載用 C バンドミニチュアレーダトランスポンダ
- 深宇宙探査に向けた搭載・地上系通信技術
- 簡易地上局システムとターボ符号の深宇宙通信への応用
- 惑星探査のための超遠距離通信技術について
- Xバンドトランスポンダの開発と深宇宙通信技術の開発展望 (第2回宇宙科学シンポジウム)
- 測距信号再生方式を採用した惑星探査のための小型トランスポンダの開発
- 深宇宙通信技術 : 惑星探査機との交信
- 海王星大気による屈折波のレイ・トレーシング
- VOYAGER 海王星最接近電波科学日米共同実験
- 新規海外深宇宙局を考慮した軌道決定について
- 科学衛星の軌道決定について
- 複速度PN測距方式
- 深宇宙探査機の追跡電波を用いた太陽風の速度の推定
- 鹿児島宇宙空間観測所34mアンテナ科学衛星追跡局
- M-V型ロケットにおけるダウンレンジ局
- 科学衛星「はるか」の位相基準信号伝送システム : 臼田地上局システムを中心にして
- 臼田宇宙空間観測所水素メーザ標準周波数時刻システム
- 新精測レーダ
- M-V型ロケットにおけるテレメータ/コマンド
- 科学衛星「はるか」における位相基準信号伝送のための衛星搭載システム
- C-2-7 宇宙通信用S帯200W級コンパクト高効率GaNアンプユニット(C-2.マイクロ波A(マイクロ波・ミリ波能動デバイス),一般セッション)
- スペースVLBI観測のための臼田局地上系総合試験結果
- GaN HPAを用いた宇宙通信用S帯500W級小型電力合成ユニット(宇宙科学ミッション・衛星技術,及び一般)
- C-2-32 宇宙通信用S帯1kW級GaN増幅器ユニット(C-2.マイクロ波A(マイクロ波・ミリ波能動デバイス),一般セッション)
- ASTRO-G通信系概要
- 深宇宙探査機トラッキングデータからのドップラー・シンチレーション成分の抽出法
- 「さきがけ」「すいせい」トラッキングデータの解析によるドップラー計測システムの性能評価