1920年代までの米国における「精神薄弱」者施設のセンター的役割の強調 : 社会的処遇における施設と公立学校特殊学級の相互補完
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概要
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本研究では米国の「精神薄弱」者施設が,1920年代までに「精神薄弱」者の総収容化理念を放棄し,彼らのコミュニティ生活を積極的に支援するようになる背景を公立学校特殊学級の成立と関連させて検討した.特殊学級の成立が,コミュニティにおける「精神薄弱」者の存在を明確なものとし,彼らを隔離的処遇下で教育し保護するという従来からの施設の役割を揺るがすことになった.とくに,特殊学級から学齢を過ぎた退学生や中途退学生が施設へと回ってくることになり,14〜16歳の新規入所者の割合が高くなった.そこで,施設は,従来からの「精神薄弱」者の保護に加えて,能力の高い「精神薄弱」者へのリハビリテーション・サービスという役割をになうこととなり,特殊学級教員への訓練プログラムの提供,公立学校退学者に対する訓練,コミュニティで生活する(仮)退所者に対するソーシャルワーカー派遣を積極的に行った.
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2003-07-31
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