陸域からの物質負荷量に対する東京湾の水質の応答(シンポジウム:陸と海の相互作用-海は陸にどのように依存しているか?-)
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概要
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閉鎖性内湾である東京湾を対象として,陸域からの物質負荷量に対する湾内の水質の応答について検討するため,生態系モデルによる数値シミュレーションを行った.まず,現状の東京湾における水質の再現性について確認した後,1935年(Case 1)・1979年(Case 2)・1994年(Case 3)の3つの期間において推定された物質負荷量を与えた数値シミュレーションを行い,それぞれの計算結果を相互に比較した.その結果,Case 1からCase 2にかけて湾内の有機物濃度が高くなった原因としては,河川からの有機物負荷量の増大による寄与が最も大きく,また一次生産量の増加に伴って生じるプランクトンの排出・死亡フラックスの増大による寄与はその半分強であった.さらに,Case 2からCase 3にかけては,プランクトンの排出・死亡フラックスは若干減少した程度にとどまったが,河川からの有機物負荷量の減少により湾内の水質が改善される様子が見られ,負荷量の総量規制は一応の効果を挙げたと言うことができる.また,今後予定されている河川からの物質負荷量削減目標が達成された場合の水質予測シミュレーションを行ったところ,水質改善効果は,湾内における公共用水域水質データの48観測地点のうちで環境基準を満たす点が1,2点増加する程度にとどまることが予測された.
- 日本海洋学会の論文
- 2003-02-24
著者
-
北澤 大輔
東京大学生産技術研究所
-
多部田 茂
東京大学大学院新領域創成科学研究科
-
多部田 茂
東京大学
-
藤野 正隆
東大
-
藤野 正隆
国立台湾大学工程科学及海洋工程学系
-
藤野 正隆
東京大学大学院新領域創成科学研究科
-
多部田 茂
東大
-
多部田 茂
東京大学大学院 新領域創成科学研究科
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