創造連鎖活動おける参加動機に関する調査

概要

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本調査の目的は,人々が創造連鎖活動に参加する動機を明らかにすることである.創造連鎖とは,多人数の貢献の積み重ねによって全体として一つのものを作るものづくりのスタイルである.我々は,創造連鎖活動の成功事例であるウィキペディアに着目し,ウィキペディアの編纂活動経験者 242 名に対して,参加のきっかけや活動を継続している理由などを質問した.その結果,既存の記事の不完全さ (誤りや不足) が多くの参加者の参加のきっかけや活動継続の理由であることが明らかになった.調査結果を考察すると,多くの参加者を創造連鎖活動に引き込むためには,改善の余地があることに参加者がすぐに気付け,手軽に修正・加筆できること,活動内容が参加者の興味と合致すること,さらに活動を通して自己研鑽につながる経験が得られることなどが,動機付けに有効であると考えられる.また,興味深い結果として,多くの参加者が編纂活動において,楽しさを感じていないこと (全回答者中 36.8%) や貢献をしている感覚を得ていないということ (同 44.2%) が分かった.さらに,きっかけの動機の強さや楽しさを実感していることと,参加頻度の間には関係性が認められなかった.
2009-11-05