ミドリシジミのケージ内での交尾
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
蝶の翅の色彩パターンの理解のためには,雌雄間での行動的相互交渉の観察が重要である.しかし,翅の色彩にしばしば著しい性的二型を示すゼフィルス類については,そのような観察は非常に少ない.そこで,性的二型の種であるミドリシジミNeozephyrus japonicusの行動を兵庫県三田市の「人と自然の博物館」にある縦12m,横8m,高さ4mの金網のケージのなかで1999年6月11日から13日にかけて観察した.ペイントマーカーで個体識別した♂12頭と♀10頭を放したところ,2回の求愛行動と1回の交尾が観察された.交尾に先立ち,♂は♀に側面から触角を広げて接近し,次第に平行に並ぶように向きをかえて,腹端を♀の腹端に近づけた.交尾は容易に成功せず,しばしば上記の行動を繰り返したり,短い飛翔を行ったが,夕方の6時26分に交尾に成功した.交尾時間は約3時間であった.交尾後♀を食草と共に保ったが,産卵は確認できなかった.後にこの♀の腹部を解剖したところ,大きな精胞が1つ見つかった.捕獲下でのゼフィルス類の交尾の誘導の意味について議論した.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2000-12-20
著者
-
今福 道夫
Department of Zoology, Faculty of Science, Kyoto University
-
竹内 剛
Department Of Zoology Graduate School Of Science Kyoto University:(present Office)department Of Biof
-
大谷 剛
Museum Of Nature And Human Activities
-
今福 道夫
Department Of Zoology Faculty Of Science Kyoto University
-
竹内 剛
Center for Ecoloaical Research, Kyoto University
関連論文
- ヒョウモンチョウ2種(タテハチョウ科,ヒョウモンチョウ亜科)による食草外産卵と卵被食との関係
- クロマダラソテツシジミの韓国からの記録
- メスアカミドリシジミの縄張り闘争に見られる日内変動
- ムラサキツバメの雄の翅による紫外線反射
- ミドリシジミのケージ内での交尾
- ギフチョウ成虫のマーキングによる行動調査
- 野外で観察されたモンシロチョウ成虫の行動 : I. 行動目録
- 巻貝の身を付着させた貝殻を持つヤドカリ
- 十脚甲殻類における体内の不相称と鉗の不相称に関する研究
- 広島県のツシマキモンチラシ(鱗翅目,マダラガ科)に関する知見
- 広島県のツシマキモンチラシ(鱗翅目,マダラガ科)に関する知見
- メスアカミドリシジミ(鱗翅目,シジミチョウ科)で発見された,気温と繁殖活動の独特な関係