野外で観察されたモンシロチョウ成虫の行動 : I. 行動目録
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概要
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1976年4月末から8月末にかけて北海道大学の構内でモンシロチョウの個体追跡を行い,観察された行動の目録をつくった.市販のマジックインク(赤)でマークされたオス11個体メス20個体の行動追跡データに基づいて,35種類に分類した行動型は次のとおり:〈単独行動〉不活動(IN):休息(Re)-1*,下垂休息(Ha)-2*,睡眠(Sl)-3*.体掃除(Sc):4*.頭振り(Hr):5*.歩行(Wa):6*.採餌(FE):吸蜜(Ni)-7*,吸水(wi)-8*.排出(Ex):9.飛翔(FL)*:移動飛翔(Wf)-10,ねぐら捜し飛翔(Rf)-11,探雌飛翔(Ff)-12,産卵飛翔(Lf)-13,逃避飛翔(Ef)-14.〈個体間行動〉はばたき反応(Ft):15*.飛びたち反応(To):16*.翅閉じ反応(Wf):17*.傾き反応(Le):18*.尻あげ反応(Ae):19*.上昇飛翔(Af):20.追尾回転飛翔(CG),追尾(Ch/):21.被追尾(Ch):22.回転(Gy):23.群飛(Sw):24前交尾飛翔(Pf):25.〈行動環行動〉配偶行動(Mt):静止(kc)♀-26,横並び(pa)♂-27,翅つかみ(cw)♂-28,尻曲げ(gg)♂-29,交尾飛翔(nf)-30,交尾(co)-31,結合飛翔(bf)-32.産卵行動(El)♀:ドラミング(dr)-33*,腹部押しつけ(pr)-34*,産卵(ov)-35*.以上の中で,4は頭部掃除だけが観察された.5は,飛翔前に時々みられる頭部を左右に振る行動.4によく似ているが,前肢の動きはない.9は1回のみ観察され,早朝の飛び出しの直前に液状のものを排出した.また,25については,オスが積極的なタイプ1とメスが積極的なタイプ2を区別した.星印をつけた行動型については,動きうる体各部の組み合わせによる記載を試みた.しかし,配偶行動や個体間行動の多くのものは表ではうまく記述できないので,簡略化した文章による記載に,その行動型が生じる前後の状況(ST:で始まる部分)の記述を添え,本文とした.省略記号は,2文字のアルファベットでつくり,独立した行動型は大文字と小文字,便宜的にいくつかの行動型をまとめたものは大文字のみ,単独では現れず1つの「行動環」としてのみ現れる行動型は小文字のみで構成した.行動型はできるだけ細かく区別したが,休息(Re)中にみられる「日光浴行動」と「日光避け行動」は必ずしも典型例ばかりでないので,区別しなかった.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1985-03-20