メスアカミドリシジミ(鱗翅目,シジミチョウ科)で発見された,気温と繁殖活動の独特な関係
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概要
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チョウのような変温動物の活動は,気候の影響を大きく受ける.メスアカミドリシジミChrysozephyrus smaragdinusの縄張り活動に気温が与える影響を調べたところ,本種の雄は,気温が高い日ほど縄張り活動を開始する時刻が遅くなることが分かった.一見類似したパターンは,クロヒカゲLethe dianaやAsterocampa leiliaなど他の種でも報告されており,暑い日には気温の高い時間帯を避けていると解釈されている.しかし,メスアカミドリシジミで見られたパターンには,この解釈は適用できない.なぜなら,暑い日には比較的気温の低い10時から12時には活動せず,一日の最高気温が記録される12時から17時に縄張り活動が見られるからである.このようなパターンは他の種では知られていない.本種は,暑い日の午前中に地上に降りて口吻を伸ばしていることが報告されている.その日の気温によって摂食行動のパターンが変わり,それが縄張り活動が行われる時間帯に影響するのかもしれない.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2013-12-25
著者
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竹内 剛
Center for Ecoloaical Research, Kyoto University
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竹内 剛
Center for Ecological Research, Kyoto University:Department of Biofunctional Science and Technology, Graduate School of Biosphere Science, Hiroshima University
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