2204 ソフトウェアメトリクス活用の動機付け手法(一般セッション)
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概要
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ソフトウェアメトリクスは,ソフトウェア開発の状態を可視化するための重要な要素技術である.しかし,メトリクスに関わる各ステークホルダ(経営層,品質保証スタッフ,プロジェクトマネージャ,開発者など)がメトリクスを十分に活用できていない場合や,そもそも測定が実施されていない場合が多い.その原因として,開発者が測定に対し動機付けされていないことや,各ステークホルダがメトリクスを各自の目標と結びつけて認識できていないことが挙げられる.開発者に測定を動機付けさせることは容易ではないものの,メトリクスの必要性および重要性を明確化することは,開発者が自ら測定に関心を持つようになるための有効な手段である.本稿では,GQM (Goal/Question/Metric)パラダイム^[1]を応用し,各ステークホルダの目標と測定量とを結びつけ,メトリクスの測定意義を明確化する手法を提案する.本手法では,まず,企業レベルの目標を設定し,これを下位の目標へと階層的に詳細化する.次に,各目標に対応する質問を抽出し,それらの質問に対する各ステークホルダのニーズの度合いを分析する.最後に,質問に対応する測定量を検討し,測定に必要な基本測定量を定義するという手順を踏む.本手法のGQMパラダイムを拡張した点は,ゴールを階層化することによって測定事象を導出しやすくしたことと,ステークホルダの測定事象に対する関心度合いを明らかにすることで測定することの意義を見出し,測定の動機付けを図ることにある.GQMパラダイムに対する本手法の特徴として,それぞれの測定量の意義がステークホルダ別に明確化できる,測定者自身にとってメリットのない測定量であってもその意義が理解できることが挙げられる.また,副次的な特長として,測定コストに制約があった場合に,ステークホルダの最大満足を実現するために必要な測定量を検討することができる.本稿では,提案手法を実際のプロジェクトの状況に適用し,各ステークホルダの目標と一般的なメトリクスとの関係の構造化を試みる.また,一部のステークホルダヘのアンケートによりその妥当性を評価し,提案手法の有効性を示す.
- プロジェクトマネジメント学会の論文
- 2005-03-17
著者
-
西 康晴
電気通信大学
-
野中 誠
東洋大学経営学部
-
野中 誠
東洋大学
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堀 明広
パナソニックMSE
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向井 清
住商情報システム
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上田 直子
富士通
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伊川 三佐子
Liquent
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吉田 康二
日本電子
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郡司 尚樹
富士通
-
宮城 幸一
オージス総研
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