生命観測定尺度による小学校6年生と中学校2年生の比較分析
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概要
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本研究は,筆者らが開発した生命観測定尺度における機械論の質問項目を改良し,小学校6年生と中学校2年生で生命観をどのように捉えているのか,その実態を明らかにすることを目的とするものである。改良した尺度を国内の広い範囲で小学校6年生及び中学校2年生の児童生徒を対象に実施した。その結果,生命観を構成する生物概念では,学年間に有意差はなかった。しかし,その下位概念の推測では,中学校2年生の方が得点平均値は有意に高いが,逆に客観的知識は有意に低かった。また,中学校2年生でも生き物を機械とみなす捉えは消失していないことが明らかとなった。一方,生命観を構成する生命概念は,小学校6年生の方が数値は有意に高く,逆に中学校2年生は低かった。その下位概念であるアニミズム,擬人化,価値,命の捉えも,中学校2年生の方が有意に低かった。さらに,アニミズムは,中学校2年生でも消失していないことが明らかとなった。これらの結果より,児童生徒の生命観に対する捉え方には,大きな課題があることが明らかとなった。
- 2009-03-13
著者
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