炎症性腸疾患における末梢血CD4^+CD25^+T細胞の解析
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概要
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CD^+でD25^<high>T細胞は調節性T細胞(Treg)と称される.炎症性腸疾患(IBD)モデルマウスヘのTreg移入が腸炎発症を抑制することが報告され,TregがIBDの病因に関与している可能性が示された.そこで我々は病期の異なる同一IBD患者末梢血Treg(CD4^+CD25^+T細胞,CD4^+CD25^<high>T細胞)の割合,Tregに恒常的に発現し抑制機能の鍵とされるGITRおよび細胞内CTLA-4陽性細胞の割合を調べ,ヒトTregがIBDの病態に関与しているか否かを検討した.〔対象および方法〕対象は潰瘍性大腸炎(UC)7人,クローン病(CD)8人,健常人7人とした.末梢血単核球を採取し,CD4,CD25,に対するモノクローナル抗体を用いてフローサイトメトリーにより解析した.CD4^+T細胞中のCD25^+細胞,CD25^<high>細胞の割合(Treg/CD4^+)をCD,UC,健常人において測定した.患者群では同一患者における緩解,活動期にそれぞれ測定を行い,また細胞表面GITR,細胞内CTLA-4も同時に測定し差異を認めるか否かを検討した.〔結果〕CD4^+CD25^+/CD4^+(%)は同一UC患者で,緩解期に比べ活動期で有意に高かった.またCD4^+CD25^<high>/CD4^+(%)は健常人と比較し,活動期CD患者で有意に高かった.一方,活動期CD患者のCD4^+CD25^<high>細胞中CTLA-4陽性細胞の割合(CD4^+CD25^<high>CTLA-4^+/CD4^+CD25^<high>(%))は健常人やCD緩解期に比べて有意に低く,GITR陽性細胞の割合(CD4^+CD25^<high>GITR^+/CD4^+CD25^<high>(%))はCD緩解期に比べてCD活動期で有意に高かった.〔結論〕強い細胞増殖抑制機能を持つCTLA-4はCd活動期CD4^+CD25^<high>で有意に低く,逆にTregの抑制機能を無効とするGITRは有意に高かった.また同様の傾向はUCには認められなかった.同一CD患者の異なる病期でTregの機能に関与するmoleculeの変化を認めた事実はCDの病因にTregが関与している可能性を強く示唆させた.
- 東京女子医科大学の論文
著者
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飯塚 文瑛
東京女子医科大学消化器病センター
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中村 哲夫
東京女子医科大学 消化器病センター
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白鳥 敬子
東京女子医科大学消化器病センター
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中村 哲夫
東京女子医科大学医学部消化器内科学
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飯村 光年
東京女子医科大学 消化器病センター
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羽村 公代
東京女子医科大学医学部消化器内科学
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白鳥 敬子
東京女子医科大学 消化器内科
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飯村 光年
東京女子医科大学医学部消化器内科学
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白鳥 敬子
東京女子医科大学消化器内科学
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飯塚 文瑛
東京女子医科大学医学部消化器内科学
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飯塚 文瑛
東京女子医科大学消化器内科学
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飯塚 文瑛
東京女医大 医 消化器内科
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中村 哲夫
東京女子医大消化器内科
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飯塚 文瑛
東京女子医科大学消化器病センター消化器内科
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羽村 公代
東京女子医科大学
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飯塚 文瑛
東京女子医科大学IBDセンター
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白鳥 敬子
東京女子医大消化器内科
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