生体エネルギー産生膜の膜電位形成におよぼす海洋環境汚染化合物(トリアルキルスズ化合物)の影響 : 生体膜電位測定のためのTPP^+電極の応用

概要

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ラット肝ミトコンドリアのエネルギー依存性膜電位変化に応じて,反応液内のイオン濃度が変化する脂溶性イオン(tetraphenyl phosphonium ion, TPP^+)の濃度を選択的に測定できるTPP^+電極を作製し,海洋環境汚染化合物のもたらす影響について検討した。1.作製したTPP^+電極を用いてミトコンドリアのエネルギー状態の変化をその膜電位変化として捉えることができた。2.TBTO添加は,形成される膜電位を消失させる効果として認められた。3.コハク酸基質依存性のADPリン酸化反応で生じる膜電位変化は,α-ケトグルタール酸基質依存性の膜電位変化と比較して,ADP添加後,大きな脱分極に続く過分極方向への膜電位変化が認められたが,TBTOの阻害効果は,後者の場合に強く認められた。4.DNP添加によるプロトン依存性脱共役の膜電位変化には,TBTOは,ほとんど影響を与えなかった。以上の結果より,ミトコンドリア内膜に存在する電子伝達系部位Iへの阻害が推察された。また,TPP^+電極が,海洋汚染化合物の生物毒性モニタリング機器の一つとして有効であることが示唆された。