幼児のかな識字能力の認知的規定因
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概要
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3-4歳児55名を対象に,かな識字能力の4つの側面の認知的規定因を検討した。識字能力として,文字音知識,特殊表記(拗音,長音,促音)の読み,長音単語の表記知識,読みの流暢性を対象とし,関わりを検討する認知的要因として,(1)モーラ意識,(2)数唱,(3)非単語復唱,(4)語彙,(5)視知覚技能を対象とした。文字音知識の上位群は,(1)-(5)すべてで下位群を有意に上回っていた。ただし,文字音知識の群を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果,独立した寄与をしていたのは,モーラ意識のみであった。特殊表記に関しては,長音の読みの上位群は下位群に比べ,非単語復唱の成績が高かったが,促音,拗音については関係性が見出せた認知的要因はなかった。長音単語の表記知識は,語彙との間で相関がみられ,長音部の表記違い(eg.,さとお)も正答とみなした場合,モーラ意識,非単語復唱,視知覚技能との相関が見出された。読みの流暢性に関しては,数唱,非単語復唱のほか,長音単語の表記知識との相関が見出された。本研究の結果は,かな識字に対する各認知的要因の相対的重要性は,識字の発達に伴い変化することを示唆している。
- 2009-09-30
著者
-
安藤 寿康
慶應義塾大学文学部
-
垣花 真一郎
郡山女子大学家政学部
-
小山 麻紀
Phyllis Green and Randolph Cowen Institute for Pediatric Neuroscience, Child Study Center, New York
-
飯高 晶子
東京理科大学
-
菅原 いづみ
共立女子大学
-
安藤 寿康
慶応大学
-
飯高 晶子
慶應義塾大学
-
小山 麻紀
Phyllis Green And Randolph Cowen Institute For Pediatric Neuroscience Child Study Center New York Un
-
安藤 寿康
慶應義塾大学
-
垣花 真一郎
郡山女子大学
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