局所対応刺激における階層的な運動統合メカニズムの検証(バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング)
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概要
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近年,様々な刺激を用いて視覚野の運動統合メカニズムの研究が行われている.運動統合のメカニズムは,例えばRDK(random-dot kinematogram)の各点の運動方向が広い範囲に分布しているとき,これらを統合して全体的な運動方向を判別するグローバル運動の知覚等に重要な役割を果たしている.Qianらは,複数の運動が重畳呈示されたときの多重運動処理メカニズムを解明するため,LPD(locally-paired-dot)と呼ばれる刺激を考案した.LPD刺激では,異なる方向に運動するドットが局所的に接近するよう配置されており,平均運動ベクトルに相当する単一のグローバル運動しか知覚できない.このことから,視野内の広い範囲の運動情報を統合する大域的な運動統合メカニズムのほかに,局所的な運動統合を行うメカニズムが存在することが示唆されている.更に,Watanabeらは,LPD刺激ではこの局所統合と大域統合が階層的に行われていることを示唆している.本研究では,この階層的な運動統合のメカニズムを解明するため,統合運動方向の知覚精度を測定する心理物理実験を行った.次に,この実験結果を説明するポピュレーション符号化モデルを構築し,具体的な運動統合方略を検討した.この結果,局所統合と大域統合では異なる運動統合方法が用いられていることが示唆された.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2007-06-01
著者
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