6. 凍結保存血小板の機能低下と膜糖蛋白GPIbの損失(平成4年度第38回凍結及び乾燥研究会研究報告)

概要

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血小板の長期保存を目的として,血小板の凍結保存について検討を行った.凍結融解後の血小板は,回収率が約90%と高い値を示したが,機能は低浸透圧ショック回復率が凍結前の約50%,凝集能になると20〜40%と大きな低下がみられた.この低下の機序を調べるため,血小板膜糖蛋白質に関しフローサイトメトリー法による測定を行ったところ,凍結融解前後で血小板膜糖蛋白GPIbがシングルピークから,二峰性ピークへの変化がみられた.同様の変化が血小板に高浸透圧ストレスを加えた場合にみられ,1000〜1100mOsm/kgの間でフローサイトメトリー法における陽性ピークと陰性ピークの割合が逆転した.またGPIbの変化は,凍害保護液として血小板に添加したMe_2SO濃度による影響を受け,最終濃度が5〜15%の時にフローサイトメトリー法における陽性ピークの割合が高くなり,それは血小板機能とも高い相関がみられた.そしてこのGPIbの変化は,蛋白分解酵素によるグリコカリシンへの分解ではなく,膜よりの離脱と考えられた.
低温生物工学会の論文
1992-10-20