秋まきコムギの起生期における土壌硝酸態窒素診断による窒素追肥量の設定

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十勝・網走地方を対象として,起生期の土壌中に残存する無機態窒素が秋まきコムギの収量・品質に及ぼす影響を評価するとともにそれに対応した窒素施肥量の設定について検討した.得られた結果は以下のとおりである.1)起生期に十勝・網走地方において深さ0〜60cm層土中の土壌無機態窒素量を測定した結果,十勝地方より網走地方で多かった.この要因として降水量の多寡および土壌凍結消失の早遅が推定された.さらに,土壌無機態窒素の垂直分布にも降水量が大きく影響していると推察された.また,土壌無機態窒素の主体は硝酸態窒素であった.2)重窒素を用いて秋まきコムギの硝酸態窒素の土層深別利用率を検討した結果,深さ80cm程度までの窒素を吸収することが明らかとなったが,深さ0〜80cm層土中の硝酸態窒素量は深さ0〜60cm層土中の硝酸態窒素量と密接な関係があり,測定の作業性も考慮すると,深さ0〜60cmを土壌診断の対象土層とすることが妥当と判断された.3)秋まきコムギの粗収量と窒素吸収量の関係は,子実タンパク質含有率を一定水準にした場合,明瞭な相関関係が認められたことから,目標収量を得るために必要な窒素吸収量が設定可能であった.また,窒素吸収量と窒素供給量(深さ0〜60cm層土中の硝酸態窒素量+起生期以降の窒素追肥量の合計)の関係において地域間・土壌間差異は小さく,両者には相関係数0.6程度の有意な関係が認められた.4)以上の関係から,目標収量を設定すると必要な窒素吸収量が計算され,さらに土壌硝酸態窒素量を測定することにより,目標収量を得るために必要な起生期以降の窒素追肥量が導き出された.
2008-02-05

秋まきコムギの起生期における土壌硝酸態窒素診断による窒素追肥量の設定

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