秋まきコムギ品種キタノカオリにおける低アミロコムギの発生要因(品質・加工)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アミロ値は重要なコムギ品質の特性値であるが,穂発芽の過程で活性化されるα-アミラーゼによって低下すると,低アミロコムギとなり加工適性が劣る.秋まきコムギ新品種のキタノカオリについて,2001〜2005年に北海道内のべ52地点で成熟期の子実試料を採取し,穂発芽粒率およびα-アミラーゼ活性,フォーリング・ナンバーを調査した.その結果,2003年の7地点で穂発芽は認められないが,高α-アミラーゼ活性で低フォーリング・ナンバーの低アミロコムギが認められた.一方,主要品種であるホクシンではこのような現象は認められなかった.成熟期前の気象条件とキクノカオリの成熟期のフォーリング・ナンバーとの相関を検討した結果,降水量,日照時間との相関は低く,成熟期前4週間の平均気温とはr=0.635(p<0.01, n=52)の比較的高い正の相関が認められ,17℃以下でフォーリング・ナンバー300以下の試料が複数認められた.登熟期の温度処理試験の結果,成熟期前約3週間が低温条件(平均気温15℃)であったキタノカオリでは,高温条件(平均気温20℃)の場合よりも成熟期直後のα-アミラーゼ活性が高い傾向を示した.成熟期以降の降雨処理試験の結果,キタノカオリはホクシンよりも穂発芽粒率およびα-アミラーゼ活性が高く,低アミロ化しやすい傾向を示した.以上のことから,キタノカオリは登熟期の低温条件により成熟期のα-アミラーゼ活性が高まりやすく,成熟期以降の降雨に対してもホクシンより穂発芽しやすいことを明らかにした.
- 日本作物学会の論文
- 2007-01-05
著者
-
神野 裕信
北海道立中央農業試験場
-
中津 智史
北海道立十勝農業試験場:(現)北海道立中央農業試験場
-
中津 智史
北海道立十勝農業試験場
-
佐藤 康司
北海道立十勝農業試験場
-
佐藤 仁
道立十勝農試
-
中津 智史
中央農試
-
佐藤 仁
北海道立十勝農業試験場
-
中津 智史
北海道立総合研究機構中央農業試験場
-
佐藤 仁
十勝農試
関連論文
- 秋まき小麦に対する硝酸態窒素入り配合肥料の起生期分施効果
- 直播テンサイにおける全層施肥と分施の有効性 : 現地圃場における効果実証試験(19. 肥料および施肥法, 2004年度大会講演要旨集)
- 秋まきコムギの起生期における土壌硝酸態窒素診断による窒素追肥量の設定
- 北海道産コムギ品種における中華麺適性の評価(品質・加工)
- 黒ボク土からのアンモニア揮散に及ぼす土壌pH・温度・施用窒素形態の影響
- 晩秋に播種した春まき小麦の越冬性の品種間差(平成21年度年次講演会一般講演)
- コムギ品種ホクシンを対象とした成熟期前後の気象条件による低アミロコムギの発生予測手法
- 北海道および九州で育成されたコムギ品種の収量性に及ぼす山口の秋播栽培および北海道の初冬播・春播栽培の効果(日本作物学会中国支部講演会)
- 直播テンサイにおける全層施肥による初期生育改善とその要因解析
- 九州および北海道で育成されたコムギ品種の違いが山口での秋播栽培および北海道の春播と初冬播栽培の収量性に及ぼす影響(テーマ講演「国産穀類の生産技術と利用における課題と可能性」,日本作物学会中国支部講演会)
- 6 テンサイ茎葉の鍬込みが次作以降の作物生産と土壌溶液中硝酸態窒素に与える影響(北海道支部講演会,日本土壌肥料学会 支部講演会講演要旨集 2005年度)
- 17-3 現地実態調査による直播てんさい土壌pH指標の設定(17.畑地土壌肥沃度)
- 11-12 道東における秋まき小麦収量の系統間差異(11.植物の栄養生態)
- コムギ縞萎縮病(WYMV)抵抗性遺伝子YmMDの座乗領域と準同質遺伝子系統の収量性(平成21年度年次講演会一般講演)
- 道立農試の小麦育種におけるDNAマーカーの利用
- 北海道小麦品種におけるDNAマーカーを利用したピュロインドリン、グルテニン、Wx遺伝子タイプの解析
- 30年間の有機物(牛ふんバーク堆肥および収穫残さ)連用が北海道の淡色黒ボク土の全炭素,全窒素および物理性に及ぼす影響
- 19 投入窒素評点法によるテンサイの窒素吸収量予測(北海道支部講演会,2007年度各支部会)
- 降水条件と施肥法の違いが直播栽培テンサイの根重および糖量に与える影響
- 直播テンサイの発芽および初期生育に対する作条基肥窒素量と施肥位置の影響
- 19 小型反射式光度計を用いた土壌硝酸態窒素の簡易測定法(北海道支部講演会,2006年度各支部会)
- 9 近年におけるテンサイの増収要因の解析(北海道支部講演会, 2005年度各支部会講演要旨)
- 19-36 畑土壌における春季の無機態窒素量の実態と変動要因(19. 肥料および施肥法, 2006年度秋田大会講演要旨)
- 19-5 直播テンサイにおける全層施肥と分施の有効性 : 施肥法の違いが施肥窒素の流れ易さに与える影響(19.肥料および施肥法,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- 19-4 土層内(0〜60cm)硝酸性窒素診断を活用した、生食用ジャガイモ「メークイン」における施肥対応(19.肥料および施肥法,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- 直播テンサイにおける全層施肥の初期生育向上効果(北海道支部講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- 51 肥料窒素の種類と添加量の違いが硝酸化成に及ぼす影響(北海道支部講演会)
- 16-10 黒ボク土に表面施用された各種窒素資材からのアンモニア揮散(16.畑地土壌肥よく度)
- 5 北海道における水稲カドミウム濃度の変動要因(北海道支部講演会,2007年度各支部会)
- アズキ茎疫病圃場抵抗性系統の作出(平成21年度年次講演会一般講演)
- 北海道における水稲カドミウム濃度の変動要因と低減対策
- インゲンマメ(金時類)に対する適正な窒素施肥管理のための土壌および作物栄養診断法
- 北海道におけるアズキの機械収穫体系
- 16 金時類の茎折れ症状および施肥反応について(北海道支部講演会,2007年度各支部会)
- 18 金時類の窒素吸収パターンと収量の関係(北海道支部講演会,2006年度各支部会)
- 北海道十勝地域におけるコムギ子実品質の実態(品質・加工)
- 秋まきコムギ品種キタノカオリにおける低アミロコムギの発生要因(品質・加工)
- 27 植生帯設置による浅層地下水中の硝酸性窒素濃度低減効果(北海道支部講演会,2008年度各支部会)
- 土壌下層への有機物埋設が土壌溶液中の硝酸性窒素濃度に及ぼす影響
- 亜リン酸の葉面散布がコムギ収量と穂発芽およびα-アミラーゼ活性に及ぼす影響
- 6 十勝中部地域における小麦品質の実態と変動要因(北海道支部講演会, 2005年度各支部会講演要旨)
- 19-3 亜リン酸の葉面散布濃度および時期が小麦の収量・品質に及ぼす影響(19.肥料および施肥法,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- 19-2 起生期の土壌残存無機態窒素量に基づいた秋まき小麦の窒素追肥量の設定(19.肥料および施肥法,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- 秋まき小麦の起生期無機態窒素診断による窒素追肥量
- 登熟期の気象条件が小麦子実のα-アミラーゼ活性に及ぼす影響
- コムギ子実吸水における吸水時間と子実水分が発芽およびα-アミラーゼ活性に及ぼす影響
- 12 北海道産小麦の品質現況 : (第6報)小麦粉色の変動要因(北海道支部講演会)
- 地力窒素の簡易測定と窒素肥沃度に応じた適正施肥推進 (土づくり推進講演会講演要旨)
- 試験成績・研究成果 簡易耕が畑土壌および畑作物の生育収量に及ぼす影響
- 起生期以降の窒素施肥が秋まき小麦「キタノカオリ」の収量・品質に及ぼす影響(北海道支部講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- 播種時期が道東における秋まき小麦品種の収量・品質に及ぼす影響(11. 植物の栄養生態, 2004年度大会講演要旨集)
- 耕盤層の簡易判定法と広幅型心土破砕による対策
- 56 貫入式土壌硬度計を用いた耕盤層の簡易判定法と対策(北海道支部講演会)
- 低温処理による小豆の開花・着莢耐冷性系統の選抜(平成21年度年次講演会一般講演)
- (25) 根腐症のインゲンマメから分離されたFusarium属菌 (北海道部会講演要旨)
- 移植および直播栽培テンサイにおける初期生育障害の発生要因
- 淡色黒ボク土壌における堆きゅう肥の連用が畑作物の収量・品質および土壌環境に及ぼす影響
- てんさい直播栽培における初期生育障害の原因と対策
- 十勝地方における培土処理,条播密植,窒素追肥が大豆の生育・収量に及ぼす影響
- 17-15 堆きゅう肥の連用が畑作物の収量・品質と土壌に及ぼす影響(17.畑地土壌肥よく度)
- 畑作に対する糞尿還元量 (特集 家畜糞尿の有効活用と環境保全--環境にやさしい北海道畜産をめざして(その2)) -- (環境保全を考慮した家畜糞尿利用技術)
- 10 てん菜の初期生育異常と土壌pHの関係(北海道支部講演会)
- 近年あらたに見いだされたダイズわい化病抵抗性遺伝資源
- 10 北海道産小麦の品質現況 : (第3報)倒伏および降雨が小麦品質に及ぼす影響(北海道支部講演会要旨)
- 「WILlS」を母本としたダイズわい化病高度抵抗性系統「植系32号」の育成
- 「WILIS」を用いたダイズわい化病高度抵抗性育種素材
- 道央・道南に適した多収で病害抵抗性を持つあずき新品種「十育155号」
- 4 2006年十勝東部で発生した畑作物湿害の土壌要因(北海道支部講演会,2006年度各支部会)
- 11-3 北海道十勝地域における地帯別気象条件と秋まきコムギの生育特性(11.植物の栄養生態,2007年度東京大会)
- オートアナライザーによる低アミロ小麦の簡易迅速検定法
- インゲンマメ新品種「福うずら」の育成
- 矮性、多収、大粒、良質のいんげん(中長鶉類)新品種候補系統「十育D10号」
- 1996年の十勝地方における菜豆黄化病の発生状況と菜豆黄化病抵抗性の品種間差異
- 判定品種による北海道のインゲン炭そ病レースの判別について
- 菜豆新品種「福勝」の育成について
- 十勝地方の高温年における菜豆(金時)の開花時期と種皮色の関係
- 菜豆手亡類における草姿改良の可能性について
- ダイズ茎疫病抵抗性遺伝子(Rps)の本道における有効性
- 10 道産小麦の品質現況 : (第4報)成熟期以降の降雨処理が小麦のα-アミラーゼ活性に及ぼす影響(北海道支部講演会要旨)
- パラグアイ,ボリビアにおける豆類(落花生,インゲンマメ等)の遺伝資源の調査収集
- 黄化病抵抗性"極強"のいんげんまめ(金時類)新品種「十育B78号」
- 3 道央地域における子実用とうもろこし生産技術の確立 : 第1報 各種の栽培条件が子実収量に及ぼす影響(北海道支部講演会,2009年度各支部会)
- 9-20 道央地域における子実用とうもろこし生産技術の確立 : 第2報 品種の早晩性が生育収量および養分吸収に及ぼす影響(9.植物の多量栄養素,2010年度北海道大会)
- 9 幌加内町におけるそばの収量実態とその変動要因(北海道支部講演会,2009年度各支部会)
- 秋まきコムギの起生期における土壌硝酸態窒素診断による窒素追肥量の設定(日本土壌肥料学雑誌論文賞,2010年度北海道大会)
- 19-43 北海道十勝中央部におけるアズキ・インゲンマメの根粒活性と窒素吸収特性(19.肥料および施肥法,2010年度北海道大会)
- 33 粗粒火山性土における客入土の経年変化(北海道支部講演会要旨)
- 小豆早生品種の開花・着莢特性(平成22年度年次講演会一般講演)
- 開花期低温処理における小豆高度耐冷性系統の特性(平成22年度年次講演会一般講演)
- 小豆遺伝資源「Acc259」由来のアズキ萎凋病抵抗性と落葉病のレース1、2抵抗性は独立に遺伝する(平成22年度年次講演会一般講演)
- 大粒良質のべにばないんげん新品種「中育M52号」
- 2 バレイショの収量・品質に及ぼす土壌Nの影響(北海道支部講演会要旨)
- 全国野菜技術情報 北海道早生地帯向けの大粒で良質なベニバナインゲン新品種「白花っ娘(しろはなっこ)」
- 窒素減肥処理がバレイショ「メークイン」の収量と品質に及ぼす効果と土壌硝酸態窒素診断による適正窒素施肥量の推定法
- 2010年の高温下で登熟したアズキ種子に行った各処理が発芽率に及ぼす効果(平成23年度年次講演会一般講演)
- 北海道網走地方におけるアズキの開花・着莢パターン, 子実収量の品種間差異
- 2001年上川地方で発生した大豆品種「トヨコマチ」の白点症状(仮称)について
- アズキ早生品種の開花・着莢パターン
- 窒素減肥処理がバレイショ「メークイン」の収量と品質に及ぼす効果と土壌硝酸態窒素診断による適正窒素施肥量の推定法
- 試験成績 北海道耕地土壌の理化学性の実態及び年次推移(1959~2007年)