温暖帯の小扇状地に成立する渓畔林の動態に及ぼす地表変動攪乱の影響
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概要
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霧島山系小池の小扇状地に成立する渓畔林において7年間における森林動態を調査し,既報で推定された河川縦断方向に沿った攪乱体制および地表面の安定性の変異を検証するとともに,扇状地内で多様な林分構造が形成・維持される過程を明らかにした。扇状地内の地表変動攪乱の空間分布を解析した結果,河川流下方向に沿って攪乱タイプは侵食型から堆積型へ変化し,攪乱サイズが大きくなる傾向が確認された。地表面の安定性の高い扇頂部および扇央部は他のゾーンと比べて枯死率が低く,林冠破壊を伴う大規模な土砂氾濫が発生しない限り,一度定着した個体の生残率は高いと考えられた。このことが,扇頂部および扇央部において小径から大径の個体を含む高密度の林分構造を維持している要因であると推察された。一方,地表面の安定性の低い扇端部では,落葉樹や扇端部に特徴的に出現する樹種の新規加入が他の樹種と比較して多かった。この結果から,扇端部の特殊な植生か成立し維持される上では実生稚樹の定着段階における弱度の攪乱の影響が重要であると考えられた。
- 2008-06-25
著者
-
伊藤 哲
宮崎大学農学部
-
中尾 登志雄
宮崎大学農学部
-
伊藤 哲
宮崎大学農学部附属演習林
-
伊藤 哲
宮崎大学農学部生物環境科学科森林化学科学講座
-
伊藤 哲
九州大学農学部宮崎地方演習林
-
伊藤 哲
九州大学農学部
-
井藤 宏香
鹿児島大学大学院連合農学研究科
-
角本 健一
宮崎大学農学部
-
井藤 宏香
鹿児島大学大学院連合農学研究科:宮崎大学農学部生物環境科学科
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