ヒノキ壮齢林における台風被害後の林縁木衰退
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヒノキ壮齢林における台風被害後の二次的衰退現象を把握し,その発生要因を解明することを目的として,衰退木の分布調査を行い,風倒によって生じたギャップおよび林縁形成の影響を解析した。また,衰退のメカニズムとして,特に環境変化による水ストレスの増大に着目し,林縁形成によって起こる葉部の水ポテンシャル変化を検討した。その結果,台風時に形成された総ギャップ面積が大きいほど周辺の衰退木の発生数が多かった。また,衰退木の多くで,樹冠下部からの枯れ上がりが観察された。衰退木の出現頻度は,孤立木,西向き,南向き,東向き,北向きの林縁木,林内木の順で多かった。林内木に比べて林縁木の方が葉の水ポテンシャル値が低く,両者の差は樹冠下部で著しかった。これらの結果から,台風被害後の衰退木の発生には,台風による直接的な樹体損傷だけではなく,林縁形成に伴う樹冠下部での水ストレスの増大が,影響していると考えられた。
- 森林立地学会の論文
- 1998-06-30
著者
-
伊藤 哲
宮崎大学農学部
-
野上 寛五郎
宮崎大学農学部自然共生フィールド科学教育研究センター
-
伊藤 哲
宮崎大学農学部生物環境科学科森林化学科学講座
-
伊藤 哲
九州大学農学部
-
村本 康治
宮崎大学農学部附属演習林
-
野上 寛五郎
宮崎大学農学部
関連論文
- 九州南東部における常緑カシ7種の生態分布
- 針葉樹人工林の小面積皆伐による異齢林施業が下層植生の種多様性およびその構造に及ぼす影響
- 数値地形情報を用いた希少渓畔樹種ヤクシマサルスベリの潜在的ハビタットの広域推定
- 屋久島低地におけるヤクシマサルスベリを含む渓畔林の種組成と立地環境
- 急傾斜地の照葉樹二次林における森林性ネズミによる堅果の散布
- スギ人工林の下層植生および伐採後の森林再生に及ぼす隣接照葉樹林の林縁効果
- 温暖帯の小扇状地に成立する渓畔林の動態に及ぼす地表変動攪乱の影響
- 全国大学演習林における渓流水質
- 南九州の暖温帯照葉樹林における樹木のハビタット分割と多様性に及ぼす微地形の影響
- スギ品種の台風被害抵抗性と感受性 : 六演習林スギ品種試験地第I試験地における被害の分析
- 1.森林生物部門(A.概要,I.研究教育動向)
- 1.森林生物部門(A.部門,I.研究動向)
- 1.森林生物部門(A.部門,I.研究動向)
- 数値地図50mメッシュ(標高)を用いた地形解析に基づく林畜複合生産システムの適地選定手法--宮崎県諸塚村を事例として
- 次期大会開催地からのお知らせとエクスカーション案内 宮崎県の植生案内--植生学会宮崎大会に向けて
- 北部九州沿岸のマテバシイ林に関する生態学的研究
- 屋久島におけるヤクタネゴヨウ林分の種組成
- 九州南東部におけるハナガガシ優占林の組成的特徴と立地環境--アラカシ優占林およびイチイガシ優占林との比較
- 水辺林の生態学, 崎尾均・由本福壽編, 東京大学出版会, 東京, 206ページ, 2002年, 3,600円+税
- 渓流生態砂防学, 太田猛彦・高橋剛一郎編, 東京大学出版会, 246ページ, 1999年, 3,400円+税
- 宮崎県諸塚村における帯状複層林のスギ・ヒノキ下木の成長特性
- ユーカリノキの萌芽葉の形態および水分特性
- 屋久島破沙岳周辺におけるヤクタネゴヨウの分布様式
- 南九州の壮齢照葉樹二次林における主要構成樹種の台風被害の特徴 : 一斉萌芽に由来する二次林構造と地形の影響
- 九州山地の中山間地域における土地利用の変化とその要因
- 森林の適正配置のための立地研究(森林立地学会創立50周年記念特集)
- 渓畔域の土壌基質に対するサワグルミ実生の根系の形態の変化 : アカシデおよびイヌシデとの比較
- 照葉樹二次林における林冠構成萌芽株集団の動態が林分構造の変化に及ぼす影響
- 屋久島の森のすがた : 「生命の森」の森林生態学, 金谷整一・吉丸博志編, 文一総合出版, 2007年7月, 247ページ, 2,625円(税込), ISBN978-4-8299-0176-2(ブックス, Information)
- 照葉樹林壮齢二次林の構造と地形
- 人工林と天然林の自然的および社会的立地条件による立地依存性の比較--宮崎県における事例研究
- 絶滅危惧種ハナガガシの個体群再生を目的とした森林タイプの再配置
- 幸島の植物種および植生タイプに対するニホンザルの採食選択性
- 山地渓畔域の地表変動と撹乱体制(河川・渓流域の森林動態)
- 地表変動に伴う森林群衆の攪乱様式と更新機構
- 落葉広葉樹数種における実生及び萌芽稚樹の物質分配特性 : 樹形の機能に関連して
- 九州南東部におけるハナガガシ優占林の組成的特徴と立地環境 : アラカシ優占林およびイチイガシ優占林との比較
- 幼齢造林地および野草地放牧黒毛和種牛の行動とルーメン内性状の特性
- 南九州地方におけるコジイ林およびスギ林の酸中和能の比較
- 異なる土壌水分条件における熱帯産3樹種の実生稚樹の成長と物質分配
- Ecological Roles of Stem Sprouts and Creeping Sprouts of Aucuba japonica Thunb.
- 山城史跡の公園整備における管理目的設定のための景観解析と意思決定支援
- マテバシイ陽樹冠および陰樹冠における水分通導抵抗のシュート内分布
- ゲンジボタルの生活環に影響する河川空間の動態に関する研究
- 遷移段階の異なるモミ・ツガ・広葉樹混交林2林分の構造比較
- 1.森林生物部門(A.部門,I.研究動向)
- 海岸風衝低木林におけるハマビワの萌芽の発生
- ボリビア熱帯雨林産2樹種の実生稚樹の成長と光合成に及ぼす光および養分の影響
- ヒノキ壮齢林における台風被害後の林縁木衰退
- 幼齢スギ,ヒノキ造林地における放牧和牛の採食植物とススキの下刈りの効果
- ^N追跡法によるクロマツ1年生苗のチッソ利用率 : チッソ単肥, 三要素肥料施用の影響
- 景域における森林の動態に関する研究(B.個人,I.研究動向)
- 森林樹木の生理生態に関する研究(B.個人,I.研究動向)
- 広葉樹林の群落動態に関する研究(B.個人,I.研究動向)
- 森林樹木の生理生態に関する研究(B.個人,I.研究動向)
- 「つなぎ」のない微妙なバランス(フォーラム「森林学の過去・現在・未来」(2))
- 造林後5年間の下刈り省略がヒノキ苗の成長に与える影響
- 九州南部のスギ人工林下層における絶滅危惧種ハナガガシの出現傾向
- 南九州で生育したslash pineの年輪形成と木材材質
- 九州山地の穿入蛇行河川のV字谷渓岸における森林のモザイク分布
- 南九州で生育した slash pine の年輪形成と木材材質
- 九州南部のスギ人工林下層における絶滅危惧種ハナガガシの出現傾向
- 九州山地の中山間地域における土地利用の変化とその要因
- 造林後5年間の下刈り省略がヒノキ苗の成長に与える影響
- 九州山地の穿入蛇行河川のV字谷渓岸における森林のモザイク分布
- 屋久島におけるヤクタネゴヨウ林分の種組成
- 森林景観のパッチ間における鳥類の移動様式(森林の"境目"の生態的プロセスを探る)
- 照葉樹二次林に隣接する伐採地における6年間の種子散布(森林の"境目"の生態的プロセスを探る)