寄生虫感染により誘導された非特異的IgEによるI型アレルギー反応の抑制
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概要
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卵白アルブミン(OVA)溶液を抗原とし,マウスの眼球結膜,鼻粘膜に塗布して抗OVA IgE抗体の誘導に成功した。つぎにマウスを2群に分け,1群には旋毛虫Trichinella spiralis Polish strain (Tsp)を感染させ,残りの1群には感染させなかった。Tsp感染5週後全マウスを殺処分し,OVA特異的IgEをELISA (enzyme linked immunosorbent assay)およびPCA(passive cutaneous anaphylaxis受身皮膚アナフィラキシー)反応にて評価した。ELISAによるとOVA特異的IgEはTsp感染によって増加あるいは減少することはなかった。一方PCA反応ではTsp感染群血清においてOVAによる皮膚反応の強い抑制がみられた。Tspの感染を受けたマウスの肥満細胞が非特異的IgEによって占領されたため,OVA特異的IgEのFcレセプターへの結合,あるいは架橋反応が阻害されたためと考察した。総IgEはOVA塗布のみのコントロール群では0.25μg/ml以下だったが,Tsp感染群では2.9〜11.7μg/mlと高値を示した。このうちTsp特異的IgEはごくわずかであると考えられた。以上より,OVA特異的IgEが存在していても,寄生虫感染により非特異的IgEを増加させることで,競合的にI型アレルギー反応を抑制できる可能性が示された。
- 自治医科大学の論文
- 2008-12-01
著者
-
松岡 裕之
自治医科大・医動物学部門
-
田辺 正樹
三重大学医学部附属病院循環器内科
-
松岡 裕之
自治医大・医動物
-
松岡 裕之
自治医科大学医学部感染・免疫学講座医動物学部門
-
田辺 正樹
三重大学医学部医動物学教室
-
大原 一倫
自治医科大学医学部医動物学学部門
-
松岡 裕之
自治医科大学感染免疫学講座医動物学部門
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