ヒト下痢症由来および鶏肉由来Campylobacter属の疫学的研究(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
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概要
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Campylobacter感染症に関する基礎的研究の一環として,2002〜2006年にかけてヒト下痢便および鶏肉,鶏糞便から分解した株を用いて,血清型別,RAPD法による分子疫学的解析,薬剤感受性試験およびキノロン系薬剤に対する耐性株の遺伝子変異について検討を行ったところ,以下の成績が得られた。1)ヒト臨床由来53株と鶏由来102株の計155株を用いて血清型別を行ったところ,85株(54.8%)が16菌型に型別されたが,残りの70株(45.2%)は型別不能であった。型別された85株の内訳はY群に20株(12.9%)と最も多く,次にB群18株(11.6%),D群8株(5.2%)であった。由来別において,ヒト臨床由来ではB群に,鶏由来ではY群にそれぞれ多く型別された。2)RAPD法による分子疫学的検討を行ったところ,供試した155株中124株(80.0%)が類似度89%≦において1〜30群に分類され,22群に22株(14.8%)と最も多く,次に18群10株価7%),16群8株(5.4%)などであった。由来別においては同一由来別に分類される傾向が強く認められ,由来の異なる株が共通した群へ分類される株は少数であった。3)ヒト下痢症由来53株の各種薬剤に対するMICの分布状況をMIC_<90>で比較したところ,GMが0.5μg/mlで最も感受性が高く,次にSMとLMが各2μg/ml,EMが4μg/ml,KMとCPが各8μg/ml,RXMが16μg/ml,MINOとCPFXが各32μg/ml,NAとNFLXが各128μg/ml,ABPC,PIPC,CEXおよびTCが各128<μg/mlの順であった。4)供試した15薬剤のうち10薬剤に対していずれかの株に耐性が認められた。その内訳はCEX99.4%, ABPC59.4%,NA40.6%,NFLX40.0%,TCとCPFX各39.4%,PIPC38.196,MINO30.3%,KM3.2%およびSM2.6%であった。5)薬剤耐性が認められた155株の耐性パターンの内訳は単剤耐性が28株(18.1%)と多剤耐性が127株(81.9%)であり,多剤耐性株が多いことを明らかにした。また,多剤耐性を示した耐性パターンではABPC/PIPC/CEXが最も多く,次にABPC/PIPC/CEX/TC/MINO/NA/NFLX/CPFXであった。6)キノロン系抗菌楽に対して耐性を示した44株のうち,43株(97.7%)がGyrAの変異(Thr-86→Ile)が認められたが,他の部位ではアミノ酸レベルでの変異は認められなかった。
- 麻布大学の論文
著者
-
古畑 勝則
麻布大学環境保健学部
-
大仲 賢二
麻布大学環境保健学部微生物学研究室
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福山 正文
麻布大学環境保健学部環境微生物学講座
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福山 正文
麻布大学
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福山 正文
麻布大学 生命・環境科学部
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福山 正文
麻布大学環境保健学部微生物学研究室
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古畑 勝則
麻布大学生命・環境科学部
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福山 正文
麻布大学生命・環境科学部
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福山 正文
麻布大学環境保健学部
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大仲 賢二
麻布大学環境保健学部
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